人魚の眠る家(東野圭吾)

面白かった。
…という言葉を使っていいのかどうか、ちょっと躊躇しちゃいますが。でも、先が気になって最後まで夢中で読んだんですよね。ラストも、最近の東野作品のように、うーーん;;;と肩すかし感を味わうこともなかったし。なので、やっぱり、面白かった!そう素直に言いたい。


6歳の娘がプールの事故で脳死状態となってしまった。その時、夫婦の選択は。そして、彼らを取り巻く人々の思いは・・・。

脳死、子供の臓器提供、延命治療、そして最先端医療技術。重いテーマに、様々な人々の想いが絡み合い、読んでいくうちに、果たしてどれが最良の方法なのか、選択なのか、分からなくなりました。

私自身は、もう随分前に、尊厳死協会に登録をし、臓器提供意思カードも所持しています。そして、もちろんのことながら、それらのことについて家族とも話し合い、それぞれの意志も確認しています。なので、もし私がそうなったら、家族がそうなったら、この物語の家族のように迷うことはないのかなぁと思ってました。私が脳死状態になったら、今でもその意志に変わりはありません。でも、家族が実際にそうなったら、どういう思いが胸の内に広がっていくんだろうと、ちょっと分からなくなってしまいました。握りしめた手がピクリと動いたら。動いたと感じてしまったら・・・。この両親のように、臓器提供に踏み切れるのかどうか。自信が無くなってしまったというのが正直な気持ちです。

でもね、この家族のように機械で娘の身体を動かそうとか、それは思わないかなぁ。なんだかそれはちょっと違うような気がする。娘のことを考えて、というよりも、親のエゴのような気がしてならなかった。なので、その辺は祖父の気持ちにすごく共感しました。

これはどういうラストになるんだろうと思っていたんですが、まさかの母親の行動にビックリ。もし、本当に刺していたら、どういう判断がなされたんでしょうね。司法的には結論付けられても、心情的には・・・。うーん、難しい問題ですね。そして、ずっと続くのかと思いきや、最期は呆気なく訪れる。ご両親、特に母親は、やれるだけのことはやったという思いもあったのかなと思いますが、今度は淡々と受け入れていく様が印象的でした。
重いテーマであったにも関わらず、なんとも清々しいような、そんな気持ちの読後感。自分でも不思議ですし、その気持ちをうまく言葉にできません。

何が正しいかとは今でも言えませんが、自分自身のことも含めて、深く深く考えさせられた作品でした。それにしても、東野さんはよくこういうお話を書けたなぁと、思ってしまいました。




(2015.01.08 読了)




人魚の眠る家
幻冬舎
東野 圭吾

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