森の家(千早茜)

あれ?あれれれ?今まで読んだ作品とちょっと雰囲気が違うかなぁ・・・。

独特の雰囲気が好きで、デビュー作からずっと追いかけいてる千早さんなんだけど、今回はその独特感が薄いかな、という感じ。おまけに、いつも以上に淡々としてるような。

恋人の佐藤さんの家に転がり込んだ美里。森のような木々で覆われた家には大学生になる息子のまりも君もいて、3人で干渉し合わない微妙な距離感での生活を送っていた。ところが、ある日、何も言わずに佐藤さんが居なくなり、美里はまりも君と二人だけの生活を送ることになるが・・・。

3章からなるこの作品は、美里、まりも君、そして佐藤さんと3人それぞれの語りで綴られていく。最初はこの3人の付かず離れずみたいな関係に戸惑ったんだけど、章が進むごとに「あ~そういうことか」と納得というか、理解していく感じでした。3人とも親との関係に鬱屈や何かしらの問題を抱えていたんですよね。3人になる前の佐藤さんとまりも君の2人の関係からして、ちょっと変わってたというかね、薄い親子関係。でも、それだったら、まりも君が「お父さん」と呼ばない、呼べない理由もわかるというか・・・。だからこそ、転がり込んできた美里に対しても、反発もせず淡々と受け入れたのかなぁと思えました。

佐藤さんが失踪した時に、まりも君は淡々と受け入れるのに対して、美里の方が佐藤さんへの執着を見せたのが意外でした。美里の方こそ、淡々と受け入れるのかなという印象だったんですけどね。どうして、そこまで執着したのか・・・実は最後までちょっと分からないままだったのがアレなんですけど;;;

そして、淡々と受け入れてるように見えたまりも君も、実はそんなことはなくて。現実を受け入れよう、そして、佐藤さんに期待をしないようにしようとしてきたこれまでの日々が窺えるような言動が・・・。実は美里のように、ぱぁ~っと発散しちゃった方が楽なんでしょうね。素直に表せないまりも君の危うさが読んでいて切なかった。

美里が佐藤さんのところに辿り着くラスト。どうして、美里が辿り着けたのかがちょっと謎でして。気にしなければいいんでしょうけど、個人的にすごーく気になったんですよねぇ(笑)なので、少しだけでも種明かしが欲しかったなぁと思っちゃいました。

美里は佐藤さんを連れて家に帰るんでしょうけど、この3人がこれからどんな「家族」を作っていくのか。それぞれが抱えた家族の問題と向き合い、その穴を少しずつでも埋めるような関係を作っていけたらいいなぁと思いました。



・水の音
・パレード
・あお



(2012.08.15読了)



森の家
講談社
千早 茜

Amazonアソシエイト by 森の家 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


"森の家(千早茜)" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント