彩雲国秘抄 骸骨を乞う(雪乃紗衣)

彩雲国物語」シリーズのスピンオフ連作短編集。

角川ビーンズ文庫から出ていたシリーズのスピンオフ集。スピンオフなのに、なんで単行本で出るんだ~?と不思議に思いながら読んだんですが、読んで納得。さすがに、これを”ラノベ”としては出せないよなぁ。

このシリーズは最初の巻からは想像も出来ないような、ラストを迎えたお話だったんですよね。「女の子が頑張るお話」という部分は、確かに最後まで残ってたとは思うけれど、最初の頃のドタバタと明るく、スカっとするような清々しさは「どこへ行っちゃったのーっ」と叫びたくなるくらいだった。確かに、巻を重ねる毎に、深みが出てきて読み応えが増したシリーズではあったんですよ。そういう意味では面白かったんだけど、逆に言うと、お手軽感が全く無くなって、さらっと読めなくなってたんですよね。きゃぁきゃぁと登場人物達に萌えまくって読んでた頃が懐かしい・・・と、最後はそんなことを思いながら読むような作品になってました。

あ、だからといって、それが不満だった訳ではないんですよ!”ラノベ”からは段々と離れていくごとに、”重み”みたいなものが出てきて、また違った面白さが増してきたのは事実なんですから。まぁ、登場人物が増えて物語が複雑になった分、新刊が出る度に「これ誰だっけ?」とか、「前巻までのお話ってどんな感じだっけ?」となってしまって、記憶力の弱い私は大変だったてのはあるんだけどね(笑)でも、すーーーっごく楽しめたし、最後まで夢中になって読みました。

ということで、なんだか前置きが長ぁーくなってしまったけれど、この作品集はあのラストの後の物語。シリーズ後半から、ぐぐっと存在感を増したおじさま達を描いてある。・・・って、ちょっと失礼な言い草ですな(笑)

悠舜、旺季、晏樹が、それぞれをどんな思いで見つめ、どんな思いを抱えてそれぞれの傍にいたのか。そして、彼らがどんな思いを抱えて劉輝の傍にいたのか、見ていたのか。そんな彼らを、劉輝がどう思っていたのか。ずんずんと重苦しく、しみじみと切ないお話でした。でも、本編でイマイチすっきりしなかった部分が、ストンと腑に落ちたような、そんな気持ちになりました。このお話を読めて良かった。

そして、劉輝と秀麗のその後。秀麗の晩年と呼べばいいのか。思わず泣いちゃったよー。・・・て、その前の3編でも泣いてたんだけどさ;;;「あの人がここで繋がるのかーっ!?」という、かなり驚愕の事実もあったんだけど、ちょっとホッと優しい気持ちになれるお話でした。もちろん、寂しく哀しいお話でもあるんだけどね。でも、その前の3編があったからこそ、余計に「劉輝、良かったね」と思えたんだよね。静蘭贔屓の私としては、チト不満ってのも無きにしも非ずなんだけどさ(笑)

そして、仙。これは、私的には「おまけ」的作品かな。でもね、これ読んだら、シリーズを再読したくなっちゃったよ;;;

んで、最後にこれが本当のおまけかなーの、悪夢の国試組を描いた物語。笑えるお話かと思いきや、これもなかなか重いお話でした。でも、この作品集の中では、一番、シリーズ初期の頃の雰囲気に近いお話かな。なんかね、このお話を読んだら、ちょっと加筆修正をしているという角川文庫版の方を読みたくなってきたり。まだ出始めだから、今からなら順番に購入していけば・・・は、いかん、いかーん(笑)


え~気を取り直して。

どれもこれもが表紙の雰囲気そのままに重々しく切ないお話ではあったんだけど、一気読みしちゃうくらいのめり込んで夢中で読みました。面白かった。


・・・んだけどねー!だけどっ!おじさま達ばっかりにスポットが当たって、若者達はどうなってるのよーっ!と、言いたくなったりもする。本編後半で、すーーっかり存在感をなくしていた若者3人ですが、このスピンオフでも同じ扱いで;;;劉輝の治世の初期の頃のお話だからしょうがないのかもしれないんだけど、この扱いはあまりにも酷すぎるような・・・。まぁ、「氷の心臓」で、多少の挽回は見られたものの、ほとんど登場もさせず、成長もさせずに放置。これって、どうなのーっ、とブーイングのひとつもあげたいってもんですよ。できれば、彼らの成長ぶりが窺えるような、大人になった3人に会いたかったなぁ・・・。そして、「きゃぁぁぁーっ、静蘭っ!せいらーんっ!」と、シリーズ最初の頃のように萌えまくりたかったなぁ・・・。

と、ちょっぴり寂しく、不満の残る作品でもありました。




・雪の骨-悠舜-
・霜の躯-旺季-
・北風の仮面-晏樹-
・氷の心臓-劉輝-
・風花-仙-
・運命が出会う夜-悪夢の国試組-




(2012.04.29読了)




彩雲国秘抄 骸骨を乞う
角川書店(角川グループパブリッシング)
雪乃 紗衣

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