おとぎのかけら 新釈西洋童話集(千早茜)

西洋童話を現代日本に置き換えた現代版西洋童話。7編の短編集。

予想してた以上に面白かった。

題材になった童話は、ヘンゼルとグレーテル・みにくいアヒルの子・白雪姫・シンデレラ・マッチ売りの少女・ハーメルンの笛吹き・いばら姫の7編。まさに西洋童話の代表作ばかり。おそらく、知らない人はいなんじゃないかと思えるお話ばかりですね。童話の選定は著者本人ではなく、編集者にお任せしたものらしい。

「童話は嫌い」という著者が描いた現代版西洋童話。著者のデビュー作である「魚神」と雰囲気が似てるかな。予想はしていたけれど、どれもこれもがスッキリニッコリではなく、ドロドロ系に仕上がっている。そして、官能的。もちろん、後味も良くない。ざらざらとしたものが残って、思わず「うへー;;;」と呟いちゃいそうなくらいぞくぞくぞわぞわする、そんな作品ばかり。まぁ、「童話って本当はすごく残酷」っていうのは、よく言われることなんですが。で、私も「確かにね~」と思ってもいたんですが。それにしても、よくぞ、ここまで描いてくれたよなぁ、と思いましたね。容赦なくずけずけと。でも、そこが良いんですよね~(笑)癖になりそうな、そんな魅力がありました。

特に好きだったのは、みにくいアヒルの子をベースにした「鵺の森」、シンデレラをベースにした「金の指輪」かな。「鵺の森」は大人になった”アヒル”が、白鳥に成長した”アヒルの子”と再会するお話。内心「ひょえー!」と思いながら、ぴーんと張り詰めた緊張感が堪りませんでした。こういうの好きなんだよなぁ・・・。「金の指輪」はね、オチにちょっと笑っちゃったんですよね~。私はあれで、ふっと肩の力が抜けたようになちゃったんですね。張り詰めた緊張感も堪らないんですが、こういうちょっとリラックスできるような、そんなラストも好き。

あとね~、白雪姫をベースにした「カドミウム・レッド」と、マッチ売りの少女をベースにした「凍りついた眼」は、すごく官能的で残虐。「好き」とはまた違うけれど、ある意味、とても魅力的で印象に残る作品。・・・って、これはやっぱり「好き」ってことなんでしょうか。うーむ。

その他の作品も、それぞれの童話を上手くアレンジしてあって、どれもこれも楽しめました。もっと、他の童話も読んでみたいですね~。




・迷子のきまり ヘンゼルとグレーテル
・鵺の森 みにくいアヒルの子
・カドミウム・レッド 白雪姫
・金の指輪 シンデレラ
・凍りついた眼 マッチ売りの少女
・白梅虫 ハーメルンの笛吹き
・アマリリス いばら姫



(2010.09.26読了)





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