凍りのくじら(辻村深月)

ウワー、ヤラレタ。
「やられたっ!」と叫ぶんじゃなく、「ヤラレタ。」と呟く。それも、涙ながらに・・・。

この作品はどういうオチなの?どういう作品なの?と、そんなことをずーーーっと思いながら読み進めました。中盤を過ぎても見えてこないんですもん。辻村さんだから、ミステリとかその手の話じゃないのかなーと思ってたんだけど、そういう雰囲気は感じられず。ただの青春物語?と思いつつも、いやだって、辻村さんなんだよね・・・という思いも消えず。

カメラマンの父は5年前に失踪。母は長い闘病生活を送っている。そういう両親を持つ高校生の理帆子。「ドラえもん」を愛し、元彼とはダラダラと関係を続け、友人とは薄っぺらな関係を築いている。そんな理帆子が出会った高校の先輩、そして、小学生の郁也。彼らとの関係を通して、すこしずつ変わっていく理帆子・・・。

章タイトルになっているドラえもんのアイテムと、その章の内容との繋がりがとっても上手い。おぉ、そうきたかっ!と、どの章でも唸らされました。それにしても、ドラえもんのアイテムって本当に色々ありますねー。私はドラえもんフリークじゃないので、知らないアイテムも多かったんですけど。そして、当然のことながら、この作品を読むとドラえもんを読みたくなります(笑)漫画だけじゃなくって、DVDも観たくなります!

元彼がだんだんと壊れていくのが怖い。そんな彼に対する理帆子の認識が甘すぎて、ハラハラを通り越してバクバクよりも、もうね、ぞわぞわ。冗談じゃなく本当に鳥肌が立っちゃいました。すっごく恐かった。


あ、ここからネタバレ気味です。未読の方はご注意を!


母親の写真集に添えられたラブレターから最後まで。もうね、涙、涙でして。涙腺が緩い私ですからね、ご想像通りですよ(笑)母親にウルウルきて、父親には涙腺決壊。もうね、けっこうぐしゅぐしゅでした;;;両親の深ーーい愛情が胸にグッときました。

そしてっ!なんといっても別所先輩にはヤラレました。多恵さんの「あきらさん」に、ん?となり、写真の父親のサインにも、ん?となったんですよね。なったんだけどっ!最後の最後まで、そっちとは思い至らず;;;気付けなかった自分が悔しい。ほんっとーに悔しいよーぅ!

愛が溢れる優しい、そして、「すこし不思議」な物語でした。満足。

やっぱり辻村さんは好きだなー。こんな初期作品でウダウダせずに、とっとと先へ進まなきゃ。今年中に追いつくぞー!と、新たに誓ったのでした。



(2010.06.23読了)




凍りのくじら (講談社文庫)
講談社
辻村 深月

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