太陽のパスタ、豆のスープ(宮下奈都)

じんわりと沁みる、そんな作品。

淡々と綴られる日々の出来事。ばーん!とインパクトがある訳でもないのに、なぜか先へ先へと読まされる文章。そして、なんでこんなにじんわりと沁みるんだろう。じわじわとあったかいものが心に広がっていくんだろう。宮下さんの作品は、どれもがみなそんな感じ。

突然、婚約破棄された明日羽。そんな彼女に叔母のロッカさんが「ドリフターズリスト」を作るように勧める。「やりたいこと、ほしいもの」を書き出すこと。それが、溺れそうになった者が藁を掴むように縋る、漂流する者たちの指針になるリストのことだという。そのリストに最初に明日羽が書いたのは・・・。そして、その後、書いていったのは・・・。

やりたいこと、ほしいもののリストを書き出してそれを実行する。簡単そうで難しいよなぁ。今、私がこのリストを作るとしたら先ず何を書くだろうか。・・・う~~~~ん。書くだけならまだいいんだけど、それを実行するってことを考えるとなかなかササッとは書けないなぁ。理性が邪魔をしちゃう(笑)リストを作る前に、「実行」という言葉を意識の外に飛ばさなきゃいけませんね。

リストを作って、ロッカさんに半ば無理矢理それを実行させられる明日羽。でも、それが少しずつ明日羽を変えていく。一歩、一歩と前に踏み出す力が湧いてくる。自分を見つめ直し、自分と関わる人たちを見つめ直す。そうして、開けていく世界。読んでるこちらも、一緒に少しずつ前に歩いていくような気持ちになりました。明日羽と一緒に自分も変われたような、そんな錯覚に陥ってしまいそうでした。そして、ハッと気づいて「いかん、いかん。その気になるんじゃなくて、本当に変わらなきゃ。前に進まなきゃ」そう言い聞かせる私がいたり(笑)

「実行」という言葉をぽぉーんと意識の外に飛ばして、「ドリフターズリスト」を作ってみよう。どんなリストが出来るかな。ちょっとワクワク。ちょっとドキドキ。



(2010.03.09読了)




太陽のパスタ、豆のスープ
集英社
宮下 奈都

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