実さえ花さえ(朝井まかて)

はぁ~良かったぁ。。。
読み終わってしみじみと余韻に浸る。そして、もう一度、と再びページを繰る。何度も読み返したくなる、そして、その度に余韻に浸れる作品でした。

第3回小説現代長編新人賞奨励賞受賞作。
まったり読書日記」のエビノートさんが読まれて、高い評価をつけてらっしゃったのを見て手に取りました。新人さん!?とマジマジとプロフィールを見返したくなるほどの完成度。新人とは到底、思えません。素晴らしい。

江戸で種苗屋を営む新次とおりんの若夫婦。その「なずな屋」を中心に、幼馴染や大店のご隠居さんに父親に置き去りにされた雀、新次が修行した霧島屋のお嬢さん達との交流、そして、なずな屋に持ち込まれる難題の数々が描かれる。

最初は「ふつー。」な感じだったんだけど、読み進むうちにどんどん夢中になっていきました。江戸を彩る花木の数々。それらを愛でる人々。丹精込めて育て、新種を作り出す花師。それらを寄り合わせ紡ぐ著者の筆力。目の前に、その花が、木が、すぅっと立ち表れるような詳細な描写は本当にお見事でした。

植物が主軸になってるだけあって、描かれる色彩も豊か。特に、第一章の桜草と寒天という取り合わせは印象的でした。想像するだけで、なんとも風雅でほーぅとため息をつきたくなる。そして、紫式部や染井吉野。本当にそういう由来があるのかもと思わせる、そうであったらいいなぁとつい願いたくなる、そんなお話になっていました。

登場人物たちが繰り広げる人間模様も目が離せない。それぞれが個性的に描かれ、誰にでも感情移入してしまい、ついついホロリとさせられる。特に第四章~終章は、そうきたか!そして、そうくるのかー!な展開でした。胸を突かれ、締め付けられ、ぼろぼろと泣かされた;;;そして、しみじみと心に沁みる静かな最後。途中までは「このお話をシリーズ化して欲しいなぁ」と思いつつ読んでいましたが、このラストで「あ~これで完結なんだな~。」と知らされ、ちょっと残念。でも、それが良いんだなぁ・・・と思えるラストでもありました。

本当に良い作品でした。そして、次作が楽しみな作家さんに出会えました。嬉しいなぁ。



実さえ花さえ
講談社
朝井 まかて

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