ホテルローヤル(桜木紫乃)

北海道の釧路郊外に建つラブホテル「ホテルローヤル」を舞台に、7つの男女の物語を描いた連作短編集。

最初の1編目は廃墟となった「ホテルローヤル」を訪れた男女の物語。それから、1編ずつ時を遡って最後の7編目は「ホテルローヤル」を建てようとしたオーナーのお話となっている。この構成が上手いなぁと思った。1編目で廃墟となった様子が描かれているので、時を遡りながら「あれはこういうことだったのか!」と、もう一度、1編目を読み返したくなったり、「こんなことがあったのに結局、最後は・・・」と切なくなったりしました。

廃墟となったホテルで恋人から投稿ヌード写真撮影に誘われた女性を皮切りに、廃業を決めたホテル創業者の娘、不能の寺住職を夫に持つ妻、親との同居で夫と肌を合わせる時間がなくなった専業主婦、親に家出された女子高生と妻に浮気されている高校教師、十歳年下の夫を養うホテル清掃係りの女性、そして、ホテル創業者がホテルを建てようと決意するまでの話と、時間を遡ってこのホテルと関わった人々(主に女性)が描かれている。

様々な人々が、それぞれの思いを胸に、様々な姿を見せてきたホテル。こうして、ホテルの一生(?)と共に、いくつもの人々の人生を見せられて、なんだか胸がぎゅーーーっと絞られるような、堪らない気持ちになりました。

そして、特に女性たちの哀しみとかやるせなさとか、そんなものがヒシヒシと伝わってきて、そちらでもたまらなく切ない気持ちになってしまいました。あの女性たちは、その後、どうなったんだろう・・・。彼女達のその後を追いかけてみたいような、でも、ちょっと止めておいた方がいいような、そんな複雑な気持ちになったのでした。



読了後、しばらくしてから、この作品で桜木さんが直木賞を受賞しました。個人的には「これでかぁ・・・。前候補作となった『ラブレス』の方が・・・」と思わないでもないんですけどね。この作品も良かったとは思うんですけど、私的には「ラブレス」の方が好きだったなぁ・・・と、ちょっぴり残念な気持ちになりつつ、受賞出来たのは本当に良かった!と思います。
おめでとうございます!


・シャッターチャンス
・本日開店
・えっちや
・バブルバス
・せんせぇ
・星を見ていた
・ギフト


*****

実はこの作品をいつ読んだのか分からないんです;;;読んだのが6月っていうのは確かなんだけど、どのタイミングで読んだのか・・・。この作品が、7月に目出度く直木賞受賞作となった時に、「あれ?感想記事(UP予定含)がなーい!」と焦りまくったのでした。ということで、とりあえず6月中に読了ということで・・・。面目ない;;;


(2013.06.00)




ホテルローヤル
集英社
桜木 紫乃

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この記事へのコメント

苗坊
2013年08月14日 00:28
こんばんは。
確かに「ラブレス」の方が…と思いますがこの作品はご実家がラブホテルだということでそれも意識されたということなのでこの作品での受賞で良かったのかなと思いました^^
時系列が逆だから本当に辛いですよね。どうなるのかわかっているのに幸せなひと時を読むっていうのは本当に辛いです^^;桜庭一樹さんの「私の男」を思い出しました。
すずな
2013年08月14日 11:01
>苗坊さん
私もです。作品を書いた理由を知った時は、これで直木賞受賞というのは良かったなぁと思いました。でも、やっぱり「ラブレス」の方が・・・と思っちゃいます^^;
時系列が逆って、「私の男」もそうでしたね~!この構成がスゴイなぁと思いましたね。読んでて辛かったですけどね;;;
2016年07月18日 18:19
すずなさん、こんにちは(^^)。
「ラブレス」、読んでみたいと思ってた作品です~!
その前に直木賞かなと思って「ホテルローヤル」を先に読みましたが、楽しみがより増しました♪

ラブホテルが舞台でも、エロスというよりは寂れゆくもの悲しさがひたひたと迫ってくる感じがして、せつなかったです。時系列が遡っていくのも、とても効果的でしたね。
すずな
2016年07月21日 11:00
>水無月・Rさん
この作品も良いですが「ラブレス」もおススメです!

舞台がラブホテルということで想像していたのと違って、エロスよりも悲しさ、切なさが迫ってくるお話でしたね。廃墟となったホテルから時を遡るという構成がスゴイと思いました。

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