あのひとは蜘蛛を潰せない(彩瀬まる)

文芸あねもね」を読んでから、ずっと待ち望んでいた新刊。デビュー作は東北旅行中に遭遇した東日本大震災の被災記録「暗い夜、星を数えて 3・11被災鉄道からの脱出」ですが、小説としてはこれがデビュー作。


なんていうんでしょうか、この閉塞感が堪らないというかね。梨枝は母親と二人暮しの28歳。母親の言うことは絶対で、梨枝も逆らわない。逆らえない。波風を立てないよう、変化のない日々を淡々と過ごしている。

読んでるだけで、「・・・ぷはっ」と息抜きしたくなってしまう。まぁ、ワタシも実家で母と二人暮しなので、似たようなものなんだけどねぇ;;;ていうか、父親がいなかったり、兄(ワタシの場合は妹だけど)が家を出てしまっていたりと、梨枝と状況が似てるので、色々と思い当たる部分が多くて余計に息が詰まりそうな気分になるのかもしれないんだけど。ま、でもね、私の場合は、時々(しょちゅう?)現実逃避の旅に出たりして、それなりに息抜きしてるからな~(笑)

そんな梨枝に勤務先のアルバイト大学生の三葉がアプローチ。大学生の恋人が出来たり、家を出ていた兄が転勤で家族と共に実家に帰ってくることになり、独り暮らしを始めたり。それまで波風が立たないように暮らしてきた梨枝が、母親と衝突したりと少しずつ少しずつ変わっていく様子に、心を添わせながらの読書となりました。

最初は、大丈夫なのかなと思っていた三葉との関係だったんだけど、最後は、なんだか素敵なカップルになっていて、それに驚きつつ良かったなぁと嬉しくなりました。

人にはその人なりのペースがあって、変われる時が訪れるもんなんだ。そして、いくつになっても、変わろうと思えば変われるんだ。そんなことを思った作品でした。




(2013.06.26読了)





あのひとは蜘蛛を潰せない
新潮社
彩瀬 まる

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この記事へのコメント

苗坊
2013年08月08日 20:54
こんばんは。
この閉塞感、私も共感できるところがたくさんあっていて息が出来なくなりそうでした^^;
私は父親も一応いますけど、兄弟は私以外は出て行っているので似たようなもんです。
梨枝が一人暮らしを機に変わっていくのが危なっかしさもありつつ応援していました。
三葉君との関係は大丈夫かなぁと思いましたが何とかなって良かったです^^
すずな
2013年08月12日 12:40
>苗坊さん
コメントが遅くなってすみません;;;コメントしたつもりになってましたm(__)m

読みながら息苦しさを感じてしまいましたね。私もですが、苗坊さんも似てる部分があったんですね。
梨枝が一人暮らしを始めた時はハラハラしたんですが、少しずつ変わって行く様子に最後は声援を送ってました。三葉くんともどうなるかなぁと最初は思いましたよねぇ^^;でも、最後はホッと出来て良かったですね。

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