玉磨き(三崎亜記)

三崎ワールド全開!
そんな感じの短編集。というか、連作集と言った方がいいのかな。ルポライターとして20年目の節目を向かえた「私」が取材してまとめた、という形になっているんですよね。なので、それぞれのお話にある繋がりと言えば、「私」が取材したということのみなんだけど。


伝統芸能である「玉磨き」を受け継ぐ唯一の高橋家当主。通勤用観覧車を作った只見通観株式会社の社長。古川世代ブーム時に古川姓であった人々。人々に不安や不調を呼び起こす「ガミ」を捕らえる「ガミ追い」の儀式を復活させた人。完全分業制で一人でコツコツと部品を作り完成形を知らないまま次へ渡す人。水底に沈んだ町の商店街組合を守りつづける男。そんな彼らを取材してまとめたルポルタージュ、という体裁。

もうね、最初の「玉磨き」からして、三崎ワールドでした。ひたすら玉を磨きつづけるという伝統工芸。”伝統工芸”とはいえ、最後になにかしらの作品が出来上がるわけではない。代々家に伝わる玉が消滅してしまうまで、ひたすら磨いていく。時代の流れで研磨機を導入した家ではすぐに玉が消滅してしまった。今では、研磨機を導入しなかった高橋家だけがその伝統芸能を受け継いでいる、というもの。

もうね、「玉磨き」という伝統芸能を理解するのがまず大変というか何と言うか(笑)三崎作品は頭をやわらかぁ~~~くして読まなければなりません。書かれていることをそのまま受け入れるということが大事!・・・と、言い聞かせながらの読書(笑)久しぶりに自分の想像力をフルに駆使しながら読みましたよ~。

「玉磨き」の次は「通勤用の観覧車」ですよ!観覧車で通勤って、どうやって?から始まり、徐々に理解していくと、朝の忙しい時間にそこまでやるのか!?とかね、ついつい、この世界の常識でバッサリ切ってしまいたくなったりする気持ちが湧き上がってくるんだけど、そこをグッと我慢して読み進めると、じわじわとこの作品の面白さが理解出来るようになるってもんです(笑)・・・って、なんだか上から目線な気がしないでもないんですけど。

それにしても、現実の世界と少しだけ違ってる世界。”思いっきりファンタジー!”の方がすんなりと受け入れやすいというか、理解しやすいもんなんだということを、三崎作品を読み度に思います。そして、三崎作品を読む度に、これって、私の想像力の程度がどれくらいあるのかっていう調査か、あるいは試験なのか!?と、つい疑ってしまいそうになります。・・・まぁ、そこまで言っちゃうと、ちょっと大袈裟かもしれませんけどね(笑)

その後のルポも同じように想像力を働かせつつ、とっても楽しめました。「古川世代」のお話は、なんだか似たような話があったような、なかったような、と思いつつ読んだ。これ、現実になったらちょっと怖いよね。でも、何かのキッカケで現実になりそうな気もして、そう思えてしまうことにも、ちょっとした恐さを感じました。

・・・って、上げていったら全部になりそうなので(それはそれでいいんだけど)、この辺りで。どのお話も面白かったんだけど、個人的には最初の2編が好きでした。




・はじめに
・玉磨き
・只見通観株式会社
・古川世代
・ガミ追い
・分業
・新坂町商店街組合
・終わりに


(2013.05.04読了)




玉磨き
幻冬舎
三崎 亜記

Amazonアソシエイト by 玉磨き の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


この記事へのコメント

2013年07月05日 16:16
すずなさん、こんにちは(^^)。
三崎ワールド全開でしたね!
毎度の如く「設定ノートが見たい!」と切望しています(笑)。
私は「ガミ追い」が好きでした。たった数年でまた消滅してしまった「ガミ追い」。ガミを追えるものがいなくなって、また世界は変質してしまうのかもしれないと思うと、切なくなりました。
すずな
2013年07月06日 12:43
>水無月・Rさん
あいかわらずの三崎ワールドでしたね~!同じく「設定ノート」が見たいです(笑)
「ガミ追い」も良かったですよね。せっかく復活したのにまた消滅してしまって…。切なかったです。

この記事へのトラックバック

  • 『玉磨き』/三崎亜記 ◎

    Excerpt: 三崎亜記さんの描く世界は、現代日本に似ているけど、明らかに世界の構成ルールが違う。町が意志を持っているかのようだったり、人や場所が消失することに穢れの意味を持たせ、追及されないようにコントロールされて.. Weblog: 蒼のほとりで書に溺れ。 racked: 2013-07-05 16:09