死者のための音楽(山白朝子)

乙一さんの別名義による短編集。

前々から読みたいと思ってたんですが、なかなか機会がなくって・・・。ようやく読めて嬉しい。本当は別作品が読みたかったんだけど、地元図書館にはこれしか蔵書が無かったので、まずはデビュー作(って呼んでいいのか微妙ですが)から!と思い直して手に取りました。

いやぁ、良かったです。ホラーはホラーなんですが、想像してたものよりも、なんていうんでしょうか、美しい、そんな印象を受けました。おまけに、ゾクゾクはするものの、最後は切なさとか愛情とか優しさとか、そんな余韻が残る感じの作品ばかり。じわりじわりと沁みる作品集でした。

・・・でも、黒いんですよ!ぞわぞわぞわわわっとして、最後に「うわ、クロっ!」と叫んでしまいそうなくらい。クロさと切なさのバランスが絶妙で、これは本当に堪らないですねぇ。

どのお話も好きでしたが、特に好きだったのは「黄金工場」と「鳥とファフロッキーズ現象について」かな。
「黄金工場」はめちゃめちゃクロかった;;;語り手が小学生だったことがそのクロさを余計に強くしたかなぁと思いますが。どうなるんだろうと思ってた最後のオチが酷すぎて「ひ~えぇ~;;;」って感じでした。クロさもだけど、最後の光景を想像するとグロさも凄くて、すんごく気持ち悪くなっちゃいました。いやぁ、これは衝撃が大きすぎました。
「鳥とファフロッキーズ現象について」は、最後の切なさが・・・。鳥の行動がどんどんエスカレートしていって恐かったんだけど、最後がねぇ。まさかそういうオチだとは思いもしなかったので、思わずホロリとしてしまった。

あと、「鬼物語」も結構、好きだったなぁ。かなりグロかったけどね。でも、姉弟のお互いを思う気持ちが堪らなく、切なく迫ってきました。赤が強い桜。禍々しく、でも、美しいんだろうなぁとそんなことを思ったのでした。見てみたいような、見るのが怖いような・・・。

表題作になっている「死者のための音楽」の、その”音楽”ってどんなんでしょうね。聞いてみたいと思いつつ、でも、聞ける状況に陥るのはちょっと怖いかなぁとも思ったり。

・・・と上げていくと、どのお話もそれぞれ素晴らしくって、これを打ちながら、思わず読み返したりもしてしまいました。
これは、他作品も是非とも読まねば!



・長い旅のはじまり
・井戸を下りる
・黄金工場
・未完の像
・鬼物語
・鳥とファフロッキーズ現象について
・死者のための音楽



(2013.01.26読了)









山白朝子短篇集 死者のための音楽 (幽ブックス)
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山白 朝子

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この記事へのコメント

苗坊
2013年01月29日 08:41
こんにちは^^
こちらのお名前でも乙一さんが出していると始め知らなくて、べるさんに教えていただきました。
山白朝子名義はホラーというか怪談なんですかね~。
ゾゾっと怖いんですが、面白くて好きです^^
もう1冊の「エムブリヲ奇譚」が所蔵自体ないんでしょうかね。
地元の図書館になくても相互貸借という方法があるので他の県内の図書館から借りることが出来るので図書館に聞いてみてください~。
まあ、もう少しで文庫化されそうな気もしますけどね^m^
すずな
2013年01月29日 12:40
>苗坊さん
まさに「ゾゾっと怖けど面白い」って感じでしたね。
そうです!その「エムブリヲ~」を読みたかったんですが、地元図書館には蔵書が無くて…。今度、図書館に行った時にリクエストしよう!と思ってます。あ~文庫化を待つと言う手もあるんですね~。
べる
2013年02月08日 22:20
私も『黄金工場』と『鳥と~』が強く印象に残りました。黒乙一とも白乙一とも違う独特の作風ですよね。別名義で出したいと思う気持ちもわかります。個人的にこういう作風は大好きなので、こちら名義でもどんどん作品を書いて欲しいと思いますね。
すずな
2013年02月11日 12:42
>べるさん
印象に残った作品が一緒だったんですね。ふたつとも強烈ですもんね^^;
別名義で出したい気持ちは分かりますが、ファンとしてはやめて欲しいと思っちゃいます(笑)見つける楽しさはありますけど…^^;
私ももっと作品を読みたいと思いました。まずは既刊本を何とかして読まなくちゃ!
2016年06月02日 20:47
すずなさん、こんばんは(^^)。
仄暗い透明感が印象的な物語たちでしたね。
「鬼物語」の赤い桜という描写が怖ろしかったです。桜って白味の強いピンクのイメージがあるので、それが赤いというのは、おどろおどろしいものを感じました。
でもなぜか読了後は、淋しさと優しさで包まれたような気になりました。
すずな
2016年06月05日 06:25
>水無月・Rさん
お~!まさに”仄暗い透明感”という言葉がピッタリな1冊でしたね。
”赤い”桜となっただけでゾワッとしますよね。可憐なイメージの桜の印象がガラリと変わってしまいます。
怖いんだけど読了後はじんわり沁みるお話でした。

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