キサトア(小路幸也)

優しい気持ちになれる作品でした。

小路作品はコンプリートしたいと思いつつ、小路さんの精力的な活動のお陰で(笑)なかなかコンプリート出来ずにいます;;;未読作品の中にも気になってるのがいくつかあるんですが、新刊を読むのに必死でなかなか手が出ないんですよねー。そんな時、気になっていた作品のひとつである本作が文庫化されまして、書き下ろし掌編も収録されてるってことだったので、「これを逃すかっ!」というイキオイで購入(笑)「現実逃避の旅」のお供に持っていきました。が、案の定、旅の間では読みきれず、帰宅後にようやく読了したのでした。

・・・なんか、前置きが長くなっちゃった;;;


色が判らない少年芸術家のアーチはお父さんと双子の妹達と海辺の町で暮らしている。お父さんは<風のエキスパート>。そして、双子の妹であるキサは日の出に目覚め、日の入りに眠る。一方のトアは日の入りに目覚め、日の出に眠るという生活。そんな家族と町の人々との一年を描いた物語。

お父さんの仕事のことで町の人々から疑われたり、アーチの作品が盗まれたりと、色々と事件は起こるものの、小路作品らしく優しい口調で語られるもんだから、それがどんなに辛い事でも、なにかしらふんわりとした印象を受ける。切なかったり、哀しかったりという気持ちを、アーチや彼を取り巻く人々の優しさで溶かしていく感じ・・・って言ったらいいのかな。

もうね、読んでて、すごく穏やかで幸せな気持ちになれるんですよね。心地よくって、ずっとこの世界に浸っていたくなる。こんな町で、こんな人たちに囲まれて暮らしていければ、本当に幸せなんだろうなぁと思える。・・・けど、私本人がこんな町には馴染めないような気もするんですけどね。「穏やか」とは到底言えない私の性格というか人柄というか、そんなものが・・・;;;


・・・気を取り直して(笑)
色がわからないアーチがどんな作品を創るのか、とても気になります。色が分からないとは言え、微妙な濃淡で識別は出来るってことなんだよね。アーチの見ている世界を、私も垣間見てみたい。それから、「マッチタワーコンクール」も興味をそそられます。マッチで創った芸術作品。燃え方も評価されるので、コンクール当日に燃やすんですよね。その瞬間にしか観れない一瞬の芸術っていうのが凄い!このコンクールに出品された作品も観てみたいと思いました。


ラストはこれまた嬉しいニュースで終わる。全く予想だにしなかったので、アーチよりもびっくりしちゃいました(笑)ホント、いつの間にっ!?って感じだったよ。驚いたものの、すごく心地よく、優しさに浸れるようなラストでした。

そして、書き下ろし掌編「それからのこと、これからのこと」では、アーチやアミ、そして、ミズヤさんのその後も描かれる。ミズヤさんはちょっぴりだけど、これまたなんだか幸せなラストで、その後のお話も読みたくなるよなぁ・・・。てか、こうなった過程のミズヤさんの物語も読んでみたいなぁと思いました。




(2012.05.27読了)




キサトア (文春文庫)
文藝春秋
2012-05-10
小路 幸也

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この記事へのコメント

苗坊
2012年06月07日 22:08
こんばんは。
私もコンプリートしたいなとは思うのですが、ホント精力的なので^^;毎年新刊を読んで終わっちゃいます。
この作品は何だか頭の中にこの物語の世界が思い浮かぶようでした。素敵な街でしたよね^^そして終わり方!おお!って思う終わり方なのが良かったです
私は単行本を読んだので書下ろしは分からないんです><
気になります。
すずな
2012年06月08日 12:49
>苗坊さん
小路さんの精力的な執筆活動にはなかなか付いて行くのが大変ですよねー;;;いつかコンプリートしたいんですが、永遠にこないような気もします^^;
素敵な作品でしたね!ラストまで驚かされて楽しめました♪
書き下ろしも良かったですよ!機会があったら是非、読んでみてください。

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