美しき一日の終わり(有吉玉青)

初読み作家さん。

実は何に惹かれたのか分からないんだけど、気づいたら図書館に予約してしていたという不思議な作品(笑)手に取っても「何故、この本を読みたいと思ったんだろう?」と不思議でねぇ・・・。でも、読み始めたら、そんな疑問は吹き飛んだ。最初から惹き込まれて、思わず一気読み。これはきっと「本に呼ばれた」んだなぁと納得しました。タイトル通り”美しき一日”を描いた物語。しんみりと沁みるお話でした。

とにかく美しい物語でした。取り壊しの決まった家で、かつて一緒に暮らしていた異母弟と過ごす一日。お互いに秘めた想いを心の奥底に抱えて生きてきた50余年。二人で庭を眺めながら、それまでの人生を振り返り、語り合う。

過去と現在が行き来し、二人の人生が淡々と綴られていく。父が愛人に産ませた少年と共に暮らすようになった美妙。実母を亡くした7歳年下の秋雨を母の代わりのように庇護しながら暮らす日々。小学生だった秋雨が高校生になり、大学生となって家を出ていき、父に死を機に家に戻ってくるが・・・。

愛人の子供と一緒に暮らす。たしかに、「ひえー;;;」と思う部分もあるけれど、ぶっちゃけ、そこまで波乱万丈な人生ということはないんですよね。それでも、二人の人生の物語から目が逸らせない。先へ先へとページを繰る手が止められませんでした。

そして、一日の最後にようやく二人の想いが重なった時、呼吸するのすら憚られるような、そんな静けさを全身で感じました。思わず息を止めて読んでしまった。静かなんだけど、熱く、そして深い想いが切なかった。この一日の為に、それまでの50余年を過ごしてきたんだなぁ。この一日の為だけに・・・。二人に、この一日が訪れて本当に良かったなぁと心から思えました。

それにしても、あのラストは意外でした。お互い、何事も無かったかのように元の場所へ還るのかと思ったんだけど・・・。「そうくるか!」と驚きでした。でも、やっと一緒にいられたんだもんね。もう離れたくはないだろうし、戻れないのかもしれないなぁ・・・。そう思いつつタイトルを見返すと、まさにその通りのタイトルでした。うむ。お見事。



(2012.06.19読了)



美しき一日の終わり
講談社
有吉 玉青

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