紙の月(角田光代)

いや~恐かった。
梨花がちょっとずつ壊れていく様子があまりにもリアルすぎて、ドキドキハラハラっていうよりも、しんしんと恐怖が降り積もっていくようでした。

契約社員として勤めていたわかば銀行から1億円を横領して海外へ逃亡した41歳の梅澤梨花。彼女がどうして1億円を横領するに到ったのか、そして、彼女と過去にすこーしだけ関わりのあった3人の人々。彼らが、”お金”にどう翻弄されているのか・・・。

会社員の夫との安定した暮らし。真面目な専業主婦。それが、ちょっとしたキッカケから仕事を始め、そして、ちょっとしたキッカケから顧客のお金に手をつけてしまう。、本当に、本当に、小さな偶然というか、ささいな不運が梨花を底なし沼に引きずり込んでいくような、そんな感覚。まさに、1度の「魔が差した」出来事から、それまでの人生が一転する様子が、詳細に描かれている。読んでいても、最初はその恐さに気付かない。途中で、フト「これは大変な事に・・・」と気付いた時にはもう手遅れって感じでした。

本当に恐かった。じわじわと梨花が壊れていく様子が、不自然ではなく、彼女が特別とも思えず、誰にでもあり得るものなんだと突きつけられたようでした。自分だって、もしかすると、ひょっとすると、梨花のようになっちゃうのかもしれないと思える。そこが、ものすごく、恐かった。

そんな梨花のお話の合間に挟まれるのは、梨花と過去に関わりを持った人々の物語。
梨花の高校時代の同級生、元彼、新婚時代に料理教室で知り合ったバツイチOL。彼らもまた、それぞれの形でお金に翻弄されていく・・・。

梨花もですが、彼らのお話も恐かったなぁ・・・。もうね、全編を通じてお金の恐さをヒシヒシと感じた作品でした。そして、自分はまともな金銭感覚を持っていると思っているけれど、本当にそうなのかな?と、自分を疑ってしまうというかね、ちょっと自信が持てなくなってしまうような、そんな気持ちにもなりました。

人って、どんなことでも狂えるんだ、誰でもそんな要素は持っているんだと突きつけられたよう。いや~ホントに恐かった。


(2012.04.20読了)




紙の月
角川春樹事務所
角田 光代

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