風が笑えば(俵万智)

雑誌「婦人公論」に連載していた「うた便り」を中心にまとめた、それ以前の「和菓子ごよみ」よりも抜粋した短歌と書き下ろしエッセイを収録。

「サラダ記念日」から25年なのか~!もう、そんなになるんだなぁ・・・と月日の流れの早さにしみじみ。あの短歌集が話題になって、国語の授業でも取り上げられて、みんなで詠んだなぁと、そんなことを懐かしく思い出した。難しいもの、古臭いものと思っていた短歌だったんだけど、「サラダ記念日」のお陰で、短歌をすごく身近に感じられるようになったんだよねー。

この作品は、そんな万智さんが、写真家の奥宮誠次さんの写真に対して短歌をつけるというもの。春夏秋冬の季節別の章立てになっているので、季節ごとの風景や外国の情景が撮られた様々な写真に短歌がつけられていて、季節毎の短歌と写真が楽しめるものでした。エッセイは、東日本大震災が起こった春から冬までの一年間が順を追って書かれているという印象。仙台で息子さんと暮らしていた万智さんが、転々とした後、沖縄かな、南の島に移り住んで暮らしている様子が書かれていました。

歌の数々に、「あ~お母さんなんだなぁ」と思う。母としての心情や、子供さんを詠んだ歌が多い。子供への愛情が溢れていました。

写真とのコラボということで、写真も多数あったですが、写真単体だけでも楽しめるものでした。そこに、万智さんの歌がつけられていて、写真と歌の相乗効果がね、良かったです。思わず「お見事!」と言いたくなるものも多数、ありました。

特に凄い!と思ったのは、『秋』の章のふたつ。


何よりも大事なことと思うなりこの子の今日に笑みがあること

唇の燃えるがごとき唐辛子大地に干され口づけを待つ



これはねー、短歌だけで読むよりも、是非とも写真と共に読んでほしい!
子供の笑顔の写真には胸をぎゅーっと掴まれた気持ちになったし、一面の唐辛子の写真はまさに圧巻でした。


短歌って凄いなぁ、と改めて思った。ダラダラと長文を垂れ流している私にとって、自分の気持ちをたった31文字で表せるってことだけで尊敬しちゃいます。表すだけでなく、ちゃんと伝わってくる事が凄いんですよねー。私なんて、ダラダラ書いた文章でも、ちゃんと伝えられてるのか全く自信がないっていうのに;;;

もっともっと、自分の気持ちを的確な言葉と文章で伝えられるようにならなくちゃなぁ、なんてことも思ったのでした。


あ、もちろん、そんな風に反省もしましたが、歌は歌でちゃんと楽しんだんですよー。ということで、季節ごとに好きだった歌をひとつずつ選んでみました。・・・ひとつっていうのは、なかなか難しかったけど;;;


『春』
少しずつふくらんでくる思いあり桜の季節にえらぶ便箋

『夏』
水無月は時の流れの匂う午後「もう」と思えり「まだ」と思えり

『秋』
名もなくて形もなくて温かいたとえばカフェに流れる時間

『冬』
背中からあったかくなる日だまりを分けあいたいね、恋でなくても



(2012.04.16読了)



風が笑えば
中央公論新社
俵 万智

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