少女は卒業しない(朝井リョウ)

卒業式の次の日に解体される高校を舞台に、その最後の卒業式の一日を描いた連作短編集。

もうね、もうね、もうねーーーっ!!どっきどきして、胸がぎゅーっとなって、思わず泣いてしまった。20代前半男子の文章にすっかりヤラレちゃって、ふにゃふにゃですよ。なんなの、なんなのーっ!20代男子のクセして、どうして高校生女子の気持ちをこんなにリアルに描けるんですか!?「それが作家さんってもんです。」ってことかもしれないけど、朝井さんって本当に20代の、それも男子なのか!?って疑いたくなってしまいましたよ。
いや~~、すっごい良かった!

7つの物語。登場するのは卒業式を迎える7人の女子高校生。卒業式の朝から夜までを順を追って描いてある。どのお話も、「さよなら」が漂っていて、切なくって、読んでて堪らない気持ちになる。そして、どの子も一生懸命で、思わずみんなをぎゅーっと抱きしめたくなった。

・エンドロールが始まる
図書室で恋した先生への想い。作田さんの気持ちが切なくってねぇ・・・。「どうなるのかしら」とドキドキしながら読んだ。・・・先生、ちょっとずるい。思わず先生のことを恨めしく思ってしまったのは、すっかり少女目線で読んでしまってたからなんでしょうけど。朝からちゃーんと図書室まで付き合ってあげた先生の優しさは伝わりましたけどね。


・屋上は青
夢に向かって頑張っている高校を退学した幼馴染の尚樹と、卒業式の朝、校舎の屋上で会った孝子。・・・って、卒業式をバックレちゃったんですねー(笑)でも、これが二人の卒業式だったんだろうなぁ。この二人、良いカップルになりそうな気がするんだけどなぁ。ダメなのかなぁ・・・と、ちょっと残念。いつか、二人がもうちょっと大人になってから再会して・・・とか、ならないかしら。


・在校生代表
「送辞」で告白なんて凄すぎる(笑)その度胸も凄いし、それを黙認しちゃった先生も凄い。亜弓ちゃんの先輩への思いがヒシヒシと伝わってくる送辞でした。この送辞で、先輩がグラッときてくれればいいのになぁ・・・とか、都合のいいことを考えちゃったりするおばちゃんなのであった(笑)でも、この送辞はグッとくると思うんだけどなぁ・・・。


・寺田の足の甲はキャベツ
浪人して地元に残る彼に、進学して地元を離れる彼女が別れを告げる。どうして「別れなきゃ」って思ってしまうんだろう。別れる必要はないと思うんだけどなぁと思いつつ、今別れなくってもきっとこのカップルは続かないんだろうと、心の奥底で思っている自分がいたりもして。複雑な気持ちになった作品でした。


・四拍子をもう一度
卒業ライブに出場するバンドの衣裳やメイク道具が行方不明になって・・・。どっちの女の子の気持ちも分かるっていうかねー。あ~「セイシュン」だわぁ!なーんて思った私はすっかりおばちゃん;;;森崎くんの歌声を聴いてみたいなぁと思ったり。


・ふたりの背景
クラスメイトに馴染めないあすかと、正道くんの物語。優しい気持ちになれる作品でした。とはいえ、内容的には、女子のえげつなさや幼い悪意を感じる、どっちかというと痛いお話なんだけどね。でも、正道くんの芯の強さというか、1本ピシッと通ったようなところがあすかを救ったんだなぁと思えて、とっても良かった。


・夜明けの中心
卒業式の終わった夜、教室に忍び込んだまなみは、同じように忍び込んでいた香川と遭遇し・・・。これは・・・(絶句)まさかまさかの展開にビックリ。切ないを通り越して、とっても辛い物語でした。二人で背負ってしまった十字架。忘れる事はできないだろうけど、どうかどうか、少しでも二人の持つ重荷が軽くなりますように。そう願わずにはいられないお話でした。



あぁ、本当に「セイシュン」でした。自分の卒業式で、こんな「セイシュン」があったかなぁ・・・と思い返してみる。きっと、私になかっただけで、周囲ではこんな「セイシュン」がいくつもあったんだろうなぁ。もう一度、卒業式の日にかえりたくなっちゃいました。てか、「セイシュン」な卒業式を迎えられるような高校生活を送るために、高校生をやり直したくなったってのがホントのところ(笑)

ということで、「さよなら」が詰まった作品で、すっごく切なかったけど、こんな卒業式を体験した女の子たちのことが羨ましく感じたりもしたのでした。

ジーンと沁みる良い短編集でした。
朝井さんの次作がますます待ち遠しくなりました。でも、朝井さんって、この春、大学を卒業して就職されたばかり。次作まで、そこそこ時間が空くのかもしれませんね・・・。ジレジレしつつ、楽しみに待ちたいと思います。


(2012.04.14読了)




少女は卒業しない
集英社
朝井 リョウ

Amazonアソシエイト by 少女は卒業しない の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


この記事へのコメント

苗坊
2012年04月22日 11:04
こんにちは^^
凄いですよね~。年齢的には朝井君なんだけど朝井さんって呼びたくなります^m^若いからこそ高校生の描写がうまく書けるのかなとは思うのですが、それ以上に彼の感性がスバラシイですよね!
どの作品も良かったです。それぞれが卒業式を迎えて決別する姿が切なくもあり逞しくもありました。
でも、最後の作品だけはかなり衝撃的で驚きました。
あの2人も乗り越えて幸せになってほしいなと思いました。
すずな
2012年04月23日 12:54
>苗坊さん
そうそう!私もつい朝井”さん”って呼んじゃいます(笑)たしかに、若いからこそ書けるのかもしれませんが、それでも凄いですよねー!
どの作品も良くって心を揺さぶられました。最後の作品は本当に衝撃的でしたよね。辛すぎました。二人にはどうか乗り越えて欲しいと願わずにはいられませんでしたね。

この記事へのトラックバック

  • 少女は卒業しない 朝井リョウ

    Excerpt: 少女は卒業しない著者:朝井 リョウ集英社(2012-03-05)販売元:Amazon.co.jpクチコミを見る 今日、わたしはさよならする。図書室の先生と。退学してしまった幼馴染と。生徒会の先輩と。.. Weblog: 苗坊の徒然日記 racked: 2012-04-22 10:57
  • 卒業だから・・・

    Excerpt: 小説「少女は卒業しない」を読みました。 著者は 朝井 リョウ 7つの連作短編 卒業式の日のそれぞれの女子高生の視点から見せていく やっぱり 朝井さんはリアルな 若者の今を描くのが上手いなぁと .. Weblog: 笑う社会人の生活 racked: 2014-03-11 23:08