文芸あねもね(アンソロジー)

3.11後、彩瀬まる・豊島ミホ・蛭田亜紗子・三日月拓・南綾子・宮木あや子・山内マリコ・山本文緒・柚木麻子・吉川トリコという「女による女のためのR-18文学賞」過去受賞者たちを中心とした10人の女性作家さん達によって作られた全額寄付のチャリティー同人誌。当初は電子書籍のみでの販売でしたが、今回、文庫本という形で出版されました。

休筆中の豊島さんの新作が読めるーーっ!そして、宮木さんに柚木さんの作品も読める!吉川さんは「少女病」のスピンオフだ!ということで、電子書籍で販売されてた時から読みたかったアンソロジー。頭の固い私は「本は紙!」という概念から離れられず、「チャリティーでもあるんだけどなぁ・・・」と思いつつも、電子書籍の購入にはなかなか決心がつかずにいました。それが、こうやって文庫本として出版される事になって、大喜びで購入。・・・したのはいいんですが、図書館本に押されてなかなか読めなかったんですよねー。ようやく読めて、とっても嬉しい!


実は、すっごく失礼な話なんですが、目的の4人の作家さん以外はあまり期待してなかったんですよね。あ、山本文緒さんは未読作家さんですが、さすがにベテラン作家さんということで別格扱い(笑)ところが、ところがっ!読んだら、どれもこれもが予想以上に良くって驚きました。いや、さすがに受賞者だけのことはありますねー。見くびっててごめんなさい;;;って感じですよ。面白くって、結構なボリュームなのに思わず一気読みしちゃいました。

ということで、それぞれの簡単感想なんぞを。


・アメリカ人とリセエンヌ(山内マリコ)
外国人に対する羨望と誤解が、面白くもあり痛くもあり。私にも、そんな幻想を抱いている部分はあるよなーと思ったりもして;;;同じ人間ですからね。やっぱり、外国人だって色んな人がいて当然なんだけど、どうしても「外国人」とか「アメリカ人」っていう括りでみちゃうよなーと思った。チト反省気味に読了したのでした。

・二十三センチの祝福(彩瀬まる)
これ、すーっごい良かった!若い女性なのに、どうして中年男性の気持ちをこんなに描けるんだろうと思えた。切なかったー。
この作家さんは、東北旅行中に被災して、その体験記が最近、出版されたんですよね。図書館の予約待ちなんですが、待ちきれないくらいかもと思うくらい、すっごい待ち遠しくなってしまいました;;;早く読みたいよー!

・水流と砂金(宮木あや子)
雨の塔」のスピンオフ。・・・なんだけど、なんかすっかり内容を忘れてしまってるような感じでして。普通の短編として読んだような、そんな感じ。宮木さんらしい作品でした。

・川田伸子の少し特異なやりくち(蛭田亜紗子)
面白かった。彼女の気持ちもちょっぴり分かるなぁと思いながら読んでしまったので、ちょっとぎゅっと胸をつかまれたりした部分もあったんだけど、最後の彼女の決意が力強さを感じられて良かった。

・真智の火のゆくえ(豊島ミホ)
もうねー、もうねー、もうねーーっ!豊島さんの新作が読めたっていうだけで満足なんだけど、期待以上の作品で喜び倍増って感じでした。最後は「どうなるの?この二人どうなるの!?」と、すっごいドキドキしちゃったよー。大満足。
・・・でも、「もっと読みたいよー!」という気持ちがフツフツと湧いてきてしまって、それはそれでジレンマが;;;また、いつか新作を読める日がきますように。。。

・私にふさわしいホテル(柚木麻子)
笑えた!読んでる途中で、これはきっと先輩の策略なんだろうな、とは気付いたんだけど、それでも楽しめたので良し。まんまと乗せられた彼女に乾杯!って感じですな(笑)

・ばばあのば(南綾子)
・・・なかなか。笑える部分もありつつ、なんか自分を省みてイタかったりもして;;;でも、これが現実に起きたら…と思うと怖いよなぁ。自分だったらどうするだろう、と想像してみたり。

・ボート(三日月拓)
これは、救いのないお話でしたねぇ;;;暗いといえば暗いお話なんだけど、何故か惹かれてしまう感じでした。最後は、彼女が覚悟を決めたような感じで、そこが良かった。

・子供おばさん(山本文緒)
たぶん、未読作家なんですよね。たぶんってとこが”アレ”なんですけど(笑)アンソロジーでは読んだかもしれませんが、きちんと読んだ事がないなぁと改めて思ったり。この作品を読んで、今度、著作を読んでみなくちゃ!と思った次第。

・少女病 近親者・ユキ(吉川トリコ)
タイトル通り「少女病」のスピンオフ。最初、ユキって誰だっけ?とか思った記憶力の弱いワタクシ;;;これ、良かったなぁ。結局、男だけどユキも「少女病」なのよねーって感じかな。


未読作家さんだった方は、山本さんを含めて他作品も読んでみたい!と思いました。どの作品も本当に良かった。予想以上に楽しめました。
ということで、読了後、なんだかすごく嬉しくなった。

巻末に、この本が出来るまでのあれこれが載ってて、それも楽しく、興味深く読みました。


(2012.03.17読了)




文芸あねもね (新潮文庫)
新潮社
2012-02-27
彩瀬 まる

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この記事へのコメント

香桑
2012年03月23日 14:13
あ。これも書籍化されたんですね。
気になっていた本がまたひとつ……。
すずな
2012年03月26日 05:49
>香桑ちゃん
されたのよー!
がんばれー(笑)
2012年06月25日 23:29
読みました。
最近、小説を読むと、トスッ、グサッと突き刺さり、そのたびに立ち止まって、時間がかかって仕方がありません。
女性の生き方そのものを考えさせられるようで、よかったです。
すずな
2012年06月26日 13:34
>香桑ちゃん
小説を読むと自分のことに置き換えてしまって、刺さったり傷口剥がされたり恥ずかしかったり…といろいろあるよね;;;
女性の生き方…あぁ、そうだね。女性作家10人の競作で、震災のチャリティー本ということで、自然とそうなったのかもね。

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