すかたん(朝井まかて)

面白かった~!

朝井まかてさんは新刊が楽しみな作家さんの一人。デビュー作から3作目であるこのお話も、読み出したらすぐに惹き込まれ、そのまま最後まで一気読みでした。

江戸詰め藩士だった夫の赴任にともなって大阪にやってきた知里だったが、夫の急死により知人のいない大阪で自活するしかなくなってしまった。言葉に慣れず仕事先を失ってばっかりだった知里だったが、ひょんなことから大阪でも有数の青物問屋である「河内屋」で住み込み奉公することになる。慣れない仕事や習慣、そして厳しいお家さんの元で必死に日々を送っていたが・・・。


江戸と大阪の言葉や習慣の違いに戸惑いながらも必死に頑張る知里に、心から声援を送りつつ、若旦那に引っ張りまわされる様子にハラハラドキドキし通しでした。おまけに、当の知里が喧嘩っ早いというか、なんというか・・・(笑)売り言葉に買い言葉。その性格ちょっと気をつけた方が・・・と、読んでるこっちが心配しちゃいました。でも、それが良い結果に繋がっていくんだから、良かったと言えば良かったんだけどね。

厳しくて凛としているお家さんも、夫との関係に屈託を抱え、なさぬ仲の若旦那の心配もしたりと、実は色んな思いを抱えている事が徐々に分かってくるんですが、それが描かれた部分では胸がぎゅーっとなって、思わず涙腺が緩んでしまいました。毅然としていても、そこはやっぱり一人の人間ですからね。それでも、お家さんという立場を守り、毅然としている姿には拍手を送りたくなりました。

そうそう!青物問屋が舞台と言う事で、美味しそうなお野菜やお料理が次々に登場するんですよね。そして、それをまた知里が美味しそうに食する訳ですよ。もうね、読んでて「私も食べたーい!」と何度、思った事か(笑)知里がとっても羨ましかった!

最初は反発していた若旦那に、気付くと思いを寄せていた知里。後半は、幻の野菜の復活にワクワク、若旦那の廃嫡事件がどうなることかとドキドキ、そして、知里と若旦那の関係にはヤキモキさせられちゃいまいた。読んでるこっちとしては、二人の関係がもどかしくってしょうがないんですもん。読みながら、「若旦那ぁぁーーーっ!」「知里ぉぉーーーーーーっ!」と何度、心の中で叫んだ事でしょうか(笑)

最後は若旦那の言葉に笑わせてもらい、河内屋夫婦の掛け合いにニッコリとなれて良かったけどさぁ。でも、そこでも「しっかりせいよ!」と若旦那の背中をバシンと叩きたくなったのは、ここだけの話(笑)

江戸時代、大阪で野菜に情熱を傾けた人々と、そこで強く生きていこうとする知里の姿に胸を熱くしました。すごーーく面白かった!

読み終わったばっかりでなんだけど、次作も楽しみです。あ~待ち遠しい!



(2012.02.10読了)






すかたん
講談社
朝井 まかて

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この記事へのコメント

夜の寝覚
2013年06月08日 13:11
はじめまして。
私は視覚障害者などを対象とした録音図書を製作する音訳ボランティアをしております。
先日『すかたん』を作り終え、とても面白かったのでコメントさせてください。
予てより素晴らしい作品は人物や情景がありありと目の前に浮かんでくるものですが
この作品はまさにそうでした。
白木蓮、難波葱、うどん出汁などのいい匂いまで漂ってくるようです。
今回音訳で一番苦労したのは「お家さん」の台詞でした。
知里に厳しい調子がそのまま出てしまい
校正担当の方から「儚げで且つ凛とした気品が足りない!」と
かつてない難しい要求を受け、慣れない大阪弁も相俟って
本編の知里のように苦労いたしました。
なんとか仕上げて振り返って思うのは
こういう作品こそ映画化してほしいなぁということです。
実は読んでいる最中、「清太郎」に桐谷健太さんが浮かんできてしょうがありませんでした。
この役はあの女優さん・・・とか想像して余韻に浸っております。
すずな
2013年06月10日 05:44
>夜の寝覚さん
初めまして。
録音図書って感情を入れずに淡々と読まなければいけないんだと思っていたので意外でした。お疲れ様でした。
登場するお料理が美味しそうでしたね。読みながら食べたくなって困りました;;;
個人的には映像化は歓迎しないので(すみません;;;)、そういう余韻の浸り方もあるんだなぁと目から鱗でした。
夜の寝覚
2013年06月10日 09:42
>すずなさん
御指摘ごもっともです。
言葉が足りず申し訳ありません。
「感情を入れずに淡々と」はそのとおりなのですが
「過度に入れない」ことに留意しつつ
男女の違いや年齢・立場の違いなどは認識してもらえるように多少工夫しなければならないのです。
私はどうも語尾がキツくなる癖があるらしく
お家さんが本当に知里を憎らしくあしらってるように聞こえるそうなのです。
ですので、全くのお芝居のようにではなく微調整程度ということですね。
「映像化は歓迎しない」もたしかに頷けるところがありますね。
素晴らしい原作が映画化されて残念な結果になる事例が多すぎますし・・・
あぁ、でも
何度も痛い目に遭ってるのに「観てみたい」欲求に負けてしまうのです。
すずな
2013年06月11日 05:43
>夜の寝覚さん
いえいえ。私の認識不足なだけなのに、わざわざの補足説明ありがとうございました。
2013年10月04日 22:33
すずなさん、こんばんは(^^)。
朝井まかてさんの作品って、すっごくイイですね!
読んでいてすごくわくわくしました。
そして、やっぱりお腹が空きますね~♪

若旦那の背中をバーンと叩いて、喝を入れたいって思ったの、私だけじゃなかったんですね(笑)。
すずな
2013年10月08日 12:39
>水無月・Rさん
朝井作品いいですよねー!ワクワクしちゃいましたね。お腹も空きましたけど(笑)

そうそう!若旦那にはもうちょっとシッカリして欲しいと思っちゃいましたよねー!喝を入れたくなったのが私だけじゃなくて良かったです(笑)

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    Excerpt: 「すかたん」/朝井まかて(講談社) これは舞台が大坂(現在の大阪)の市井ものの時代小説です。 主人公の知里(ちさと)は、夫の大坂赴任に伴い江戸から大坂にやって来た。 ところがその夫は1年で.. Weblog: 京の昼寝~♪ racked: 2013-07-16 17:19
  • 『すかたん』/朝井まかて ◎

    Excerpt: 「すかたん」って、大阪言葉だったんですねぇ。 ヤ○ターマンのド○ンジョ様の口癖「こ~の、スカタン~!」で聞き慣れ過ぎてて、知らなかったです。・・・ドロ○ジョ様って、大阪娘だったのね(笑)。 って、.. Weblog: 蒼のほとりで書に溺れ。 racked: 2013-10-04 22:29