水の柩(道尾秀介)

道尾作品と言えば、暗く重くそして、ラストのどんでん返しと衝撃という印象なんですが、どうも最近はそういう作風からちょっと変わってきてるようで・・・。これはこれでいいんですけど、ラストの「やられたーっ!」という悔しさと嬉しさ半分みたいな気持ちが味わえないのはちょっと寂しいかなぁと思ってしまいます。

中学二年生の”普通”の少年が、級友からいじめを受けている女子生徒と親しくなり、ある提案を受けたり、家族の秘密を知ったことから、少しずつ成長していく姿を描いた物語。・・・って感じでしょうか。

普通の少年が様々な事柄に直面し、それをなんとか解決しようと奮闘する姿、そして、それらを乗り越え成長していく姿に、先が気になって一気読み。夢中になって読みました。最後のダムのシーンは特に良かった。少年のアイディアに思わず拍手を送りたくなったし、ジーンとしちゃいました。あのシーンを思い浮かべると、このタイトルが本当にピッタリはまって印象に残るラストでした。

ただですね、途中でいくつか突っ込みたい部分があって、そこら辺のもやもやが取れないというのも事実なんですよねー。ちょっとご都合主義すぎるんじゃないかと思ってしまって。例えば、数年前に埋めたタイムカプセルを素手でそんなに簡単に(まぁ、簡単にじゃなかったけど)掘り当てる事が出来るのか。そして、同じように埋め戻せるのか。そして、それに本当に誰も気付かないのか・・・なんて、タイムカプセルに関してだけでもね、どうよ?と思う部分があるんですけど。そういう部分がすんなり納得というかね、腑に落ちなくってなんともスッキリしないんですよねー。

あと、最初にも書いてますが、「ヤラレターっ!!」と叫ぶような伏線とか、大どんでん返しとか、そういう派手な部分がないっていうのは、やっぱりちょっと物足りないかなぁ・・・。いや、これはこれで、静かな感動が寄せてくる良い作品だとは思うんですけどね。でも、道尾作品なら・・・と、どうしても期待しちゃってる自分がいるのも正直なところです。今後の道尾作品は、やっぱりこの路線なんでしょうか。時々でいいから、くちょーっ!と思わず本を投げ出したくなっちゃうような作品も書いて欲しいなぁと思うのは読者の我侭でしょうか・・・。



(2011.12.14読了)





水の柩
講談社
道尾 秀介

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