ワン・モア(桜木紫乃)

連作短編集。

この著者の「ラブレス」が良かったので、手にしてみました。「ラブレス」では、かなりドロドロ感もあって読むのに結構、気力を使ったんですが、この作品ではそこまでのドロドロ感はなく、それよりも、思ってた以上に爽やかなラストで思わず感動してしまった。・・・してしまった、って(笑)
いや、良かった。一気読みでした。


どのお話も主人公は30~40代の、それなりに人生を重ねてきた男女。安楽死問題で島の病院に飛ばされた女医、癌で余命数ヶ月と診断された女医とその元夫、女性と付き合った事がないレンタルビデオ屋の店長、女医たちと高校の同級生だったものの医師にはなれず放射線技師となった男性、50代を目前にした看護師と、仕事や恋愛に躓き、人生を諦めそうになったりもするものの、最後は前を見て歩いていこうとする人々を描いている。

30~40代って、人生をそれなりに重ねてきたからこそ、新しい一歩を踏み出すのに躊躇いがあるし、かなりの勇気を必要とする。彼らのそんな姿に、思わず自分自身を重ねてしまったりしました。いいオトナなんだけど、だからこそ、恐さも大きい。なかなか勇気を持てないばかりか、諦めることも知っている。だから、つい・・・、そんな気持ちがよく分かって、ちょっと切なかった。

様々な人が登場しますが、余命を宣告された女医の元夫の章を読みながら、彼もいろいろと迷い戸惑ったんだな~と意外に思いました。もっと、すぱっと決めたのかと思ってたんですよね。まぁ、一度別れたのに・・・となれば、そりゃ悩まないはずないんでしょうけど。

あと、意外だったのはレンタルビデオ店の店長。どうして彼を主人公にした章があるんだろうと、読みながらすっごい疑問でした。だって、全く関わりがなさそうだったんですもん。そしたら、最後の章で登場!うわ、そういうことか~!と驚きつつ、とっても嬉しくなりました。


ラストはかなりドキドキしながら読み進めました。病気の事もあるし、なんだか読み進めるのがいやだな~と思って。でも、うわー!と歓声を上げたくなるくらい嬉しいラストで、本当に良かった。すっごく嬉しかった。拓郎と一緒に「どうかいつまでも・・・」と願いつつ読了。



読了後、表紙を眺めて「ワン・モア」というタイトルを噛み締める。なんだか、ちょっぴり勇気をもらえたような、そんな気分。私も頑張ろう。



・十六夜
・ワンダフル・ライフ
・おでん
・ラッキーカラー
・感傷主義
・ワン・モア


(2012.01.24読了)




ワン・モア
角川書店(角川グループパブリッシング)
2011-11-28
桜木 紫乃

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この記事へのコメント

苗坊
2012年01月30日 10:30
こんにちは^^
私も「ラブレス」の話を考えるとドロドロしてるのかと思ったのですがそんな事はなかったですね。最初の章だけドロドロしていましたが^^;
出戻ってきた旦那さんがあんなに悩んでいるのは私も意外でした。すぐそばにいるようになったのかなと思ったので。
昨日の地方紙でこの本が紹介されていました。舞台が北海道で著者さんが道産子というのもあると思うのですが。
読んだ本が紹介されているとちょっと嬉しいです^^
すずな
2012年01月30日 12:50
>苗坊さん
たしかに最初の章はドロドロでしたね^^;
旦那さんが悩んでたのは意外でしたよね~。私もすぐに戻ってきたのかと思ってました。
読んだ本が紹介されてると「あ、これ読んだー♪」と嬉しくなりますよねー。逆に、読もうと思ってた本が紹介されると、ちょっと悔しくなるのは私だけでしょうか^^;

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