ラブレス(桜木紫乃)

初読み作家さん。
著者名から受ける印象としてはもっと軽いタッチの作品を書かれる作家さんなのかなーと思ってたんですよね。タイトルも然り。でも、帯の文章を読んで「あれ?ちょっとイメージと違う内容のような・・・」と興味が沸いたので手に取ってみました。そしたら!タイトルと著者名からはちょっと想像出来ないような内容だったのでビックリ。結構、ずずんとくるような重い作品でした。

昭和14年、北海道。開拓団の一員として標茶村に入植した百合江一家。極貧の生活が続く中、百合江は中学を卒業すると自分の意志とは関係なく奉公へと出される。昭和26年、その奉公先から逃げ出して旅の一座へ飛び込んだ百合江は・・・。

波乱万丈と言えるような百合江の一生。女性としての幸せを掴んだかと思うと裏切られ、その殆どがシングルマザーとして生きるんですよね。母としての逞しさを感じると共に、どんな状況になっても前を向きつづける女性の強さをまざまざと見せ付けられた、そんな作品でした。もちろん、「女性としての幸せ」としてはどうだったのか、と問われれば答えに詰まるけれど。でも、百合江にそう問えば「幸せだった」と答えるんだろう、そう思える。実際、物語の中で姪に同じようなことを問われ「幸せ」だと答えてもいるんですよねー。

綾子についての真相にはびっくり!でした。そうきたかー!と思いつつ、幸せそうな彼女を見れた、見つけることが出来たことには、素直に良かったな~と思いました。まぁ、百合江にとってはどうだったのか分かりませんが・・・。やっぱりどうであっても手元で育てたかったのだろうとは思うんだけど・・・ね。

そして、最後の最後。百合江の最期にはもっともっと驚かされたーっ!えぇーーーーっ!?と、読みながら思わず声を上げるところだったよ(笑)いや~、そうくるとはねぇ・・・。著者もやってくれるじゃないか!本当に驚いたよ。驚くと同時に、思わず涙腺が緩んじゃったりもしたけどね。そして、もっと早く来てくれれば良かったのに・・・そう思わずにもいられなかったけどね。でも、最後の最後に愛する人が傍にいてくれて良かったなぁと本当に心から思えました。

なかなか読み応えがあって、重い内容ではあったけれど、その分、胸に響く作品でした。良かった。

この著者は初読みだったんだけど、他作品も読んでみたいと思いました。



(2011.09.27読了)




ラブレス
新潮社
桜木 紫乃

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この記事へのコメント

苗坊
2011年12月25日 22:51
こんばんは^^
この本、図書館でやたらと予約が入っていてなぜ?と思い、便乗して読んでみました。
私もタイトルと装丁から軽めのお話なのかと思っていたのですが全然違いました。
女性の一生記なんですから、重くないわけがないですね。
百合江ははたから見れば幸せとは言えない人生だったのかもしれませんが、それでも百合江は幸せそうでしたよね。
何度も裏切られてきましたけど、純粋で一生懸命な人だったんだろうなと思いました。
娘さんとの確執・・・までは行かないんですけど、苦労して育てたんですから、仲の良いまま最後まで行ってほしかったな~と思いました。
すずな
2011年12月28日 12:38
>苗坊さん
図書館で人気なんですね~!
この装丁とタイトルからは想像できない重いお話でしたね。たしかに、女性の一生記ですもんね。重くて当然なのかもしれません。
私も百合江と娘さんには仲の良いままいって欲しかったな~と思いました。
2016年08月17日 10:45
すずなさん、こんにちは(^^)。
百合江の生涯にはあまり共感はできませんでしたが、それでも一生懸命に生きたことは尊敬に値すると思いました。
5人の女たちの〈忍耐〉を描き、どんなことがあっても生きていく芯の強さが、とても印象深かったです。

・・・私、ラストの訪問者、ちょっと遅すぎじゃないの!これだから男って!!と思ってしまった、嫌な人です(^^;)。
でもきっと百合江は、彼のことを恨んでいなかったんじゃないかなと思います。
すずな
2016年08月26日 12:49
>水無月・Rさん
私も共感というよりは懸命に生き抜くその姿に胸を打たれました。何があっても前を向いて歩いていく強さは凄いなぁと。女性たちの強さが印象的でしたね。
そして、確かに遅すぎ!とは思いますけね^_^;それでも、傍にいてくれて良かったなぁと思いました。

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