V.T.R.(辻村深月)

スロウハイツの神様」に登場する作家チヨダ・コーキのデビュー作という設定。なので、表紙や奥付も辻村さんバージョンとコーキバージョンがあって、なかなか凝っている。・・・んですが、図書館で借りた私はコーキバージョンの表紙を見れないのが残念;;;これは本屋さんで手にしたほうが良かったかなぁ・・・。文庫化される時も、どうかこの凝った作りで!と願うのみ。

書いたのは辻村さんなんですが、辻村作品とはちょっと違うかなーという印象。「コーキのデビュー作」という設定で書かれているんだなぁと思える。・・・って、それって凄いことだよなぁ。まぁ、もちろん辻村色も出ているのは出てるんですよ。ラストの種明かし部分には「なんですってー!そうきたかーっ」と驚かされたんだけど、そういうところは「やっぱり辻村作品だった;;;」と思ったし、ね。

内容としてもなかなか面白かった。
ティーのところに、三年前に分かれたアールから突然、電話がかかってきて「自分についての色んな噂話を聞くと思うけど、アタシはあの頃と変わっていないから」と言われる。そしてティーは、街に下りて友人達からアールに関しての聞き込みを始めるが・・・。
少しずつ語られる最近のアール。それは、ティーの知っていたアールからは想像も出来ないような姿。危険な橋を渡っているらしいアール。どうして?何のために?

なんで?どうして?これからどうなる?ドキドキとワクワク。緊張感はいや増していくし、あれこれ想像は膨らむしで、先が気になって気になってページを繰る手を止められない。そして、アールの身に起こった出来事。ティーに関する真相。うわー、うわー!

・・・と、テンションが上がったところで「え?ここで終わりっ!?」というラスト;;;なんだか、途中でポイッと投げられた気分なんですけどー。もちろん、きっとティーは・・・という想像は膨らみますが、結局ね、アールは何の為にあんなことをしてたのかってのが分からないままでして。スッキリしないというかなんというか・・・。そこは何らかの説明が欲しかったなーと思ってしまいます。

切ない恋物語と思えばそれなりに楽しめたし、先が気になって夢中で読んだんですが、最後の最後でそんな気持ちに水を差されたというか、ね。消化不良気味に終わってしまったのは残念でした。



(2011.09.11読了)





V.T.R. (講談社ノベルス)
講談社
辻村 深月

Amazonアソシエイト by V.T.R. (講談社ノベルス) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


この記事へのコメント

べる
2011年09月15日 08:17
これ、珍しく買ったんですよ、私。だから、両面カバーの嬉しい特典にテンション上がりました(笑)。でも、内容的にはちょっと物足りないというか、不満も所々にありました。薄い本ですしね。でも、チヨダ・コーキの『デビュー作』という若々しい感じがきちんと出ているところは、辻村さん巧いなぁ、と思いましたね。
すずな
2011年09月16日 12:41
>べるさん
この作品はべるさんのように買うべきでした~;;;今更ながら後悔。文庫化の時も同じ装丁になることを期待します。
内容的には不満もありましたよねー。コーキのデビュー作という意味ではこれでいいのかな、とは思いますけど…^^;そう!でも、こんな風に書けちゃう辻村さんはすごいなーと思いました。

この記事へのトラックバック

  • 辻村深月/「V.T.R.」/講談社ノベルス刊

    Excerpt: 辻村深月さんの「V.T.R.」。 ヒモのような怠惰な生活を続けるティーの元に、三年前に別れた最愛の女・アールから突然電話が かかってくる。『これから、自分の酷い噂話を聞くことになっても、自分.. Weblog: ミステリ読書録 racked: 2011-09-15 08:12