ヒプノスの回廊 グイン・サーガ外伝22(栗本薫)

グーン・サーガ・シリーズ最後の巻。これがホントにホントに最後のグイン・サーガ。

・・・ということで、なかなか手に取れなかった。発売日に入手して、ご主人である今岡さんの解説を読んだら・・・なんというかね、あぁ、本当にこれで最後なんだなぁと思っちゃって。そしたら、もうね、読めなくなっちゃったんですよね;;;10代の頃に出会ったこのシリーズ。それから約20年。本編130巻と外伝21巻をずーっと読んできて、これが正真正銘、最後の巻なんだな~と、そんなことを思っただけで胸が一杯になってしまって・・・。そのまま積読本の山の中に埋もれてたんですが、そろそろ読まねば、そんな気持ちになれたので、エイっと勢いをつけて手にとってみた。

色んなところで発表されたまま作品集としては未収録だった短編を纏めたもの。なので、発表された年代もバラバラ。なんたって30年の開きがあるんだよー!そして、グイン・サーガという同じシリーズなのにも関わらず、趣きもバラエティに富んだ内容となってました。いかにも栗本さんらしい、そんなことを感じさせる短編集。

・前夜
これが一番新しく2009年の作品。アニメ化された時のDVDに収録されたもの。これは既読。・・・ってかね、この短編が読みたいが為に、DVD1巻を購入したんですもん。
黒竜戦役前夜のパロを描いた物語。リンダとレムスが母やナリスに囲まれ、幸せな王女・王子時代を送っていた頃のお話。なんというか、感慨深いって感じかな。これを読むと、グイン・サーガの第1巻を読みたくなっちゃいます。

・悪魔大祭
パロの闇王朝時代を描いたもの。グインとは直接、関係ないといえば関係ないのかなーと思えるお話。闇王朝時代なので、グインが活躍した時代からもっと先の時代ってことになるのかなぁ・・・。もうね、全く救いがない。読んでてちょっと引いちゃうくらいの表現部分もあったりもするんだよね。でも、実は栗本さんのこの手の雰囲気のお話は結構、好みだったりします。

・クリスタル・パレス殺人事件―ナリスの事件簿
「ナリスの事件簿」って既刊の外伝があるので、そっちになんで収められなかったのかなと思ったんだけど。発表時期の関係かなぁ・・・。パロで起こった殺人事件をナリスが見事解決するってお話。まぁ、そこまで「推理物!」って程ではないんだけど・・・。それよりも、この作品のメインはナリスとヴァレリウスの出会いの物語って事の方が重要ですね。そうか、こういう出会いだったのか、って感じ。

・アレナ通り十番地の精霊
本編では馴染みの、トーラスのゴダロ一家を描いた物語。普通の気のいい人々の物語って感じかな。アリスの出産に絡めて、ちょっと不思議なことがゴダロ一家で起こるという内容。これはね~ほっこりできる物語でした。読後感が良い。彼らにまた再会できたのが嬉しい!

・ヒプノスの回廊
タイトル作。これは・・・これは、これは!そんな言葉を思わず呟いちゃう内容でした。この短編は「百巻達成一周年記念限定パンドラ・ボックス」に収録された物語なんだそう。なるほどねー。本編では名前しか登場せず、なかなか真相が明かされなかった、「ランドック」や「女神アウラ・カー」が描かれている。グインが何故、ルードの森に出現したのか。その謎が解き明かされ・・・たような、違うような。なんだか曖昧なままで結ばれているんですよねー;;;う~ん、ずるい(笑)すっごい大興奮して読んだのに、「え?あれれれれ?」みたいな。びみょーにはぐらかされた感が・・・。

・氷惑星の戦士
これが一番古い作品で1979年に発表された短編。これは、この作品集の中で唯一グイン・サーガ・シリーズではない。でも、この作品がグインが書かれる元になった作品という事で収録されたんだそう。SFであり、ミステリーのような趣きもある作品でした。読んでて、そんなに古い作品とは思えなかった。



はぁ・・・。これにて、本当にグインはおしまい。なんとも言えない感慨があります。これが、完結での「最後の巻」なんだったら、また違った感慨があったんだろうなぁ・・・と、思わず未練がましいことを思ってしまいました。まだ、やっぱり心の奥では諦めきれないっていうか、著者の死を受け入れられないっていうか、そんな気持ちがちょっぴり残っていたのかなぁ・・・。




・悪魔大祭(JUNE1982.09・11月号)
・クリスタルパレス殺人事件-ナリスの事件簿(「グイン・サーガ・ハンドブック2」1999.07)
・アレナ通り十番地の精霊(「グイン・サーガ・ハンドブック3」2005.04)
・ヒプノスの回廊(「PANDORA」2006.09)
・氷惑星の戦士(「SFマガジン」1979.03月号)



(2011.06.14読了)







この記事へのコメント

この記事へのトラックバック