裏閻魔(中村ふみ)

「ゴールデン・エレファント賞」第1回大賞受賞作。

・・・って、よく分からない賞ですが(笑)「日本の優れたコンテンツ・クリエーターによるオリジナル小説作品を発掘し、各国言語で世界にリリースすることを目的に2009年に設立された、国際的 エンタテインメント小説アワード。」ということらしいです。ということで、日中韓米の世界四カ国同時発売に加えてイメージソングまで作られているそうで。すごいですねぇ。

この作品は新聞広告で気になってたところに、職場の方から「面白かった!」と聞いたので、早速、読んでみました。

面白かったーーっ!!

実はもっと軽めの文章と内容なのかと思ってたんですが、かなり読ませる文章と内容でして。読み出したら続きが気になって先へ先へと読んでしまって、気付いたら一気読みしてました。

幕末、新撰組に追われ重傷を負った一ノ瀬周は、刺青師の宝生梅倖から「鬼込め」と呼ばれる刺青を掌に彫られ、命を救われたものの不老不死の身体となる。刺青師、宝生閻魔として生きることとなった彼は、友人から託された幼い娘と共に、幕末から明治、そして昭和へと激動の時代を、歳を取らず青年のまま過ごしていくが・・・。

幕末から昭和までの100年間を描いた物語であると同時に、切ない恋愛小説でもあります。不老不死となった閻魔の哀しみと、愛する人とどう生きるか葛藤する姿。そして、彼を愛した人々が彼とどう関わっていくのか。

なんといっても、友人に託された遺児、奈津との関係が切ない。最初は、妹であったものが、姉になり、母になり、祖母となっていく・・・。一人の女性として愛しながら、思いを伝える事ができないもどかしさ。そして、奈津も女性として閻魔に思いを寄せていながら、どんどん歳を重ねていくという辛さ、やりきれなさがね、もう、堪らないです。いっそ、閻魔と同じように不老不死にしてしまえばいいのに!と思ったりもしつつ、そう出来るのにやらない閻魔だからこそ、惹かれるのかなーとも思えるんですよね。自分と同じ思いはさせたくないという気持ちが痛いです。でも、奈津としてはね、やっぱり同じ身体にして欲しかっただろうなぁ・・・とは思いますけどね。

そして、同じ不老不死となった兄弟子である夜叉との関わり。実は姉の仇でもあるということで、敵対しているようでありつつ、それでもやっぱり同じ運命を背負っているという同士のような気持ちも根底にはあるのかな…とそんなことも感じました。同じように永遠の時を重ねている二人ですからね。

時代背景もいいですね。幕末から昭和にかけてという、近代日本の激動の時代。新撰組に追いかけれていた主人公が、最後の章では太平洋戦争、原爆投下の中を生きていく。100年の時間が流れたんだということが、すごくリアルに伝わってくる作品でした。

最後の奈津の手紙には思わず涙腺が緩んじゃったんですが、その後の閻魔の行動に拍手を送りたくなっちゃいましたよ。うわー良かったなぁとニッコリ微笑めるラストでした。二人は無事に再会して、奈津との最後の時間を慈しみながら過ごせたんじゃないかな・・・。想像するしかないけれど、きっとそうだったと信じたい。。。



(2011.05.01読了)





裏閻魔
エイ出版社
中村 ふみ

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この記事へのコメント

べる
2011年05月09日 07:19
おお。これ、新刊で本屋で平積みになってる時、その本屋さんがポップとか使ってめちゃくちゃプッシュしてたんですよ。だから、予備知識とか一切なしで予約してあるんですけど。すずなさんがここまで絶賛してるなら期待出来そうだ~。話題作みたいで、まだまだ回って来そうにないのですが(^^;)、、楽しみにしておきます♪
すずな
2011年05月09日 12:40
>べるさん
お~既に予約済なんですね~。私的にかなりツボにはまったお話でした。
気に入っていただけると嬉しいのですが…ちょっとドキドキしながら結果をお待ちしてます^^;
べる
2011年09月03日 00:19
うんうん。改めて記事を読ませて頂きましたが、いちいちすずなさんに同感です。ほんとに、二人の恋模様は切なくてもどかしかったですね~^^;私も、いっそのこと、奈津のこと不死にしちゃえよ、閻魔!とか思ってました(笑)。でも、そこでしなかったのが、閻魔という人間の良い所なんですよね。ラストシーンは良かったですが、ほんと、遅すぎだよ!とツッコミたくなりました^^;
すずな
2011年09月03日 12:35
>べるさん
二人の恋模様が切なかったし、もどかしかったですよね~。
ラストシーンは「は~良かったよーぅ」と安堵しましたが、べるさんの記事を読んで一緒に突っ込みをいれましたー(笑)

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  • 中村ふみ/「裏閻魔」/〓出版刊

    Excerpt: 中村ふみさんの「裏閻魔」。 時は幕末。長州藩士・一ノ瀬周は、新撰組に追われ瀕死の重傷を負うが、刺青師・宝生梅倖が掌に 彫った「鬼込め」と呼ばれる呪いの刺青で命を救われる。周は不老不死の運命を.. Weblog: ミステリ読書録 racked: 2011-09-03 00:15