セイジャの式日(柴村仁)

プシュケの涙」「ハイドラの告白」と続いた三部作の最終巻。今回も前2作と同じように二部構成になっていて、第一部はミステリー、第二部は青春小説という感じ。

第一部の主人公は前作にも登場したハルさん。こっちはね、「これが三部作の最終巻?」って感じだったんですよねー。大学生のハルさんや彼方達が巻き込まれた殺人事件。真相は・・・ってなもんで。まぁ、それなりに楽しめたんだけど、三部作の最終巻だと思うとね、どうなの?っとクレームでも入れたくなっちゃう。

ところが、第二部は第一部とガラリと雰囲気が変わる。母校に教育実習生としてやってきた彼方と高校生達の物語。これは良かった。途中、吉野彼方の影を感じたり、由良彼方の想いがちょっと切なかったり・・・。特にラストが良かった。この三部作でずっと底辺に流れていた哀しみが、このラストで昇華したような、そんな印象。あ~良かったなぁと、ホッと胸を撫で下ろすような、そんな心地。・・・気付くと、彼方を母のような目線で見ている自分がいたりしたのは、ちょっとアレなんだけどさー(笑)でも、本当に良いラストでした。このラストを読んで、確かに三部作の最終巻だな、と思えました。思わず巻頭のイラストを見直して、しみじみしちゃったりもしました。

と、良かったんですよ。良かったんだけど、ちょっと不満を言わせて貰えらえれば、最後のお話も、主人公は高校生だったんですよね。出来れば、彼方の心理描写をじっくり描いて欲しかったなぁと思ってしまいます。最後の一編くらいは、「彼方の物語」という視点で読んでみたかった。彼の思いを読めなかったのは残念でした。

このラストに不満はないし、このラストで良かったと思うんだけど、でも、やっぱり彼方の思いも読んでみたかったと思わずにはいられません・・・。



(2011.04.30読了)




セイジャの式日 (メディアワークス文庫)
アスキーメディアワークス
柴村 仁

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