トロイメライ(池上永一)

夢中で読んだ「テンペスト」のスピンオフ作品と聞いて手に取りました。「テンペスト」が琉球王国の首里城を舞台にしたお話だったのに対し、こちらは那覇の町を舞台にそこで生きる市井の人々を描いたお話。

江戸の岡っ引のような仕事をする筑佐事。那覇の町で起こる事件に新米筑佐事として立ち向かう武太を中心に、那覇の町で生きる人々を描いた人情もの。・・・って感じかな。

武太が新米筑佐事として手柄を立てたいと思いつつ、一旦事件に関わると犯人に肩入れしてしまったりして、即逮捕するのに躊躇してしまう。法通りに片付けてしまえない事情が見えてくる。どうしたらいいのか・・・事件の度に様々なことを悩みながらも少しずつ成長していく姿には好感が持てました。そして、彼を取り巻く人々など、人情味溢れる物語にちょっと胸を突かれたり。

そして、「テンペスト」で登場した、あの人やあの人やあの人の影がチラチラと見え隠れするのも嬉しい。読む前は、ほとんど忘れてて気付かないかも・・・と心配してたんですが、「あ。」「おーっ」っと結構、分かったのは嬉しかった。実はもっと登場してたのかもしれないんですけど、私が気付いた分だけでも結構テンションが上がったので良し(笑)まぁでもね、登場したと言ってもチラッとだけなので、すっごく期待して読むとちょっと残念な結果になるかもしれませんが(笑)

あとですね、「テンペスト」がとーーーっても面白かったので、その興奮を期待して読むとちょっと物足りないなーと思ってしまうかな。展開や登場人物達の魅力など、「テンペスト」と比べるとやっぱりちょっと・・・;;;と思ってしまいます。関係ない物語として読めばいいんでしょうが、「テンペストのスピンオフ」という情報がインプットされてからだと、そういう訳にもいかないし。どうしても比べてしまうのはしょうがないかなぁ、と。

物語だけではなく、琉球王国時代の風習や風俗など、琉球ならではの雰囲気を味わえたのは良かった。ますます那覇や首里城に行きたくなっちゃいましたよー。まだ未踏の池なんですよね。いつか行ってみたいものです。

この作品は近々続編が出るらしいですね。主人公は変わらず武太なんでしょうか。そして、テンペストからはどなたが登場するのでしょうか。ちょっと楽しみ。




・第一夜 筑佐事の武太
・第二夜 黒マンサージ
・第三夜 イベガマの祈り
・第四夜 盛島開鐘の行方
・第五夜 ナンジャジーファー
・第六夜 唄の浜



(2011.05.10読了)





トロイメライ
角川書店(角川グループパブリッシング)
池上 永一

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この記事へのコメント

べる
2011年05月19日 07:09
確かに、琉球王朝内部を描いた『テンペスト』に対して、王宮外の市井を描いた本書を比べると、地味な印象を受けてしまいますよね。寧温のジェットコースター人生を読んだ後だと、物足りなさを感じるのは仕方ないかな、と思いますね。私は、こちらはこちらで人情味があって温かい気持ちになれて好きでしたけれどね。黒マンサージの正体が気になって気になって仕方ないです^^;そういえば続編、あと数日で発売じゃないかな?(予定では21日だか22日だったような)
すずな
2011年05月20日 12:36
>べるさん
「テンペスト」に比べるとちょっと地味な感じでした。なので「あれ?」って思っちゃったんですよねぇ^^;面白くなかったって訳ではないんですけどね。
あ、私も黒マンサージの正体が気になります~!続編で明かされるんでしょうか。楽しみですね。

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  • 池上永一/「トロイメライ」/角川書店刊

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