からまる(千早茜)

連作短編集。

今回は異世界でも童話をモチーフにした訳でもなく、この現代を生きる人々の普通の物語。・・・というと、ちょっと抵抗があるんだけども(笑)でも、普通の物語でした。それでも、千早さんの醸し出す雰囲気は健在でして。不安定で清々しくない。あ、誉めてるんですよ、もちろん(笑)なんていうかね、ドロってしてる感じ。これが堪らないんですよねー。もはやこれは「千早ワールド」と呼べるんじゃないかと思いますね。


地方公務員の武生、武生の職場でバイトしている田村、武生の上司、武生の姉、武生の甥、田村の友人で武生の甥の家庭教師、そして、休日、武生の部屋にやってくる女。7人の人々が次々と描かれる。それぞれの短編毎に、時系列が行ったり来たりするんですよね。最初はちょっと戸惑ったりもしたんだけど、それはすぐに慣れた。そして、誰もが現状に不満や不安を抱えている。どうにかしたいと思いながらも、どうすることも出来ないもどかしさ。ジタバタすればするほど、不本意な方向に向かってしまう。ホント、人生ってままならないもんです。・・・って、何を達観してるんだか(笑)

世間って狭いなーと、実はつい先日、職場で感じたことなんですが。人って、どこでどう繋がっているのかホントわからないもんですね。ちょっとしか関わりの無い人なのに、実はすごい近い繋がりがあったりするもんなんだなーと、そんなことを感じさせる作品でもありました。そして、この作品には「つながる」ではなく、「からまる」という言葉がピッタリ。色んな人々が、からまりあってる、そんなお話でした。

人はやっぱり一人では生きていけないものなんだなーとも思った。他人にあまり執着しないようでいても、誰かの助けはやっぱり必要で。誰かに何かしら助けられるし、影響を受けるもんなんですよね。

私は誰と、どんな人々と、からまりあって生きてるんだろう、そんなことをフト思いました。ちょっと興味がありますが、知らないほうがいいような気もします(笑)




・第一話 まいまい
・第二話 ゆらゆらと
・第三話 からまる
・第四話 あししげく
・第五話 ほしつぶ
・第六話 うみのはな
・第七話 ひかりを



(2011.03.26読了)





からまる
角川書店(角川グループパブリッシング)
千早 茜

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この記事へのコメント

2011年06月13日 16:31
すずなさん、こんにちは(^^)。
私は「からまってると安心しそう」と思ってしまった人です(笑)。いやでも、イソメがぐにゅぐにゅと絡まってたらちょっとキモチワルイかも?(^_^;)
普通のどこにでもいそうな人たちの孤独が、ちょっとだけ癒されてゆく物語、素敵でした。

すずな
2011年06月14日 12:35
>水無月・Rさん
そうなんすねー。私は「うわっ;;;」という人と繋がってそうで、想像したら…^^;あ、もちろんイソメはもっとイヤですよーっ!
ちょっとホッとできるお話でしたね。

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  • 『からまる』/千早茜 ○

    Excerpt: まだ3作しか読んでないけど、千早茜さんは「孤独」を書くのが上手な作家さんだなぁ・・・という気がします。 本作『からまる』は、前二作とはちょっと雰囲気を変えて、現代日本が舞台。 第1話の主人公・武生.. Weblog: 蒼のほとりで書に溺れ。 racked: 2011-06-13 16:23