六月の輝き(乾ルカ)

東北太平洋地震が発生し、連日の報道に触れています。九州の片隅に住んでいる私の地域では、地震の揺れも感じないし、原発の恐怖もそこまで感じる事はないんですよね。映画のような津波のシーンをTVで見ながら、ただただ心を痛めるだけ。どうか、一人でも多くの命が助かりますように。どうか助かった人々が少しでも早く元の暮らしに戻れますように。そう祈るしかない・・・。かの地のことを思うと、読書を楽しみ、その喜びをこうやってブログに綴る事に躊躇を感じる日々でした。そんな時に、阪神大震災で被災された作家の有川浩さんのブログ記事を読んで、「そうか。楽しんでいいのか。私が日々を楽しんで元気でいる事が、経済を回し被災地支援にも繋がっていくんだな。」と思うことが出来ました。

という訳で、地震の被害に遭われた方々へ思いを馳せつつ、久々の更新です。


*****

良かった~!
この作品の前に読んだ「蜜姫村」とは、また趣が全く違った作品でした。同じ作家さん!?とちょっと疑いたくなるくらい。後半は涙でウルウルとなりながら読みました。


隣同士の家に生れた美奈子と美耶。小学校の図工の時間に起きた事件によって、二人の関係が変わってしまう。月日は流れ二人は・・・。

連作短編集のように、章毎に語り手が変わっていく。美奈子の怪我を治した不思議な力を持った美耶。美奈子や同級生、二人の母親など彼女達を取り巻く人々が二人の成長の様子と共に次々と描かれていく。

美耶の力が現れたせいで、美奈子と二人の関係が変わってしまうのが切ない。最後になってやっと二人の気持ちが再び通い合うんですが、その時はもう美耶の命が尽きようとしている時で。なんていうか、最後にやっと二人がぎゅーーーっと繋がっていく様子に、良かったな~と安堵しつつ、それが本当に切なくって涙腺大決壊でした。二人の母親の気持ちも切なかった。

美奈子のことは描かれているのに、最後まで美耶自身が語ることはない。最後の最後に美耶の本心を垣間見ることが出来ますが、それもほんの一瞬だけ。確かに、それが本当の心からの美耶の気持ちなんだろうとは思うんですが、途中、この時、美耶はどう思っているんだろうと何度も、何度も思いました。

結局、一人残されてしまった美奈子。お母さんと美耶の二人を失った彼女のこれからが心配というか・・・。でも、彼女はきっと、強く前を向いて歩んでいってくれると信じたい。。。




・第一章 もう、戻らない(外崎美奈子)
・第二章 水死体(瀬戸恵子)
・第三章 特別ではなく(渡辺史恵)
・第四章 深夜疾走(高田洋行)
・第五章 僕はただ……(平田隆哉)
・第六章 雪と桜(外崎真喜子)
・第七章 六月の輝き(外崎美奈子)



(2011.03.05読了)




六月の輝き
集英社
乾 ルカ

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この記事へのコメント

べる
2011年03月23日 00:48
私も、被災地以外の被害を受けていない人々が元気になって、普通の生活をして、経済を支えて行くべきだと思います。自粛して悲しんでるだけじゃ、被災地の方々には何の助けにもならないですものね。今はまず、日常に戻ることが大事なんじゃないかと。

私も、美耶が美奈子のことを本心ではどう思っていたのかは気になります。見返りを求めない友情に切ない気持ちになりました。
すずな
2011年03月23日 12:47
>べるさん
まずは日常、ですね。西日本から東日本へ少しでも元気を送りたいものです。。。

この時、美耶はどう思ってるんだろう?どういう気持ちなんだろう?と、気になりましたよね。美奈子が頼めば、いつでも手を差し伸べる、その深い友情がホント切なかったですね。

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  • 乾ルカ/「六月の輝き」/集英社刊

    Excerpt: 乾ルカさんの「六月の輝き」。 戻りたい──いちばん美しい季節の光の中へ 同じ誕生日、隣同士の家に生まれた美奈子と美耶。互いに「特別」な存在だった。11歳の夏、 美耶の「ある能力」がふたりの.. Weblog: ミステリ読書録 racked: 2011-03-23 00:43