叫びと祈り(梓崎優)

第五回ミステリーズ!新人賞受賞作「砂漠を走る船の道」から始まる連作短編集。
恥ずかしながら「2011本屋大賞」にノミネートされていたのを見て、初めて知った作家さんです。ミステリということだし、本屋大賞だし!ということで、早速、図書館で予約。手に取った次第。

取材や休暇で世界各国を巡るジャーナリストの斉木が、サハラ砂漠、スペイン、ロシアなどで遭遇した事件の数々。そして、その斉木の身に降りかかった運命とは・・・。

うん、好き。面白かった。そして、これがデビュー作ですか!と驚きも感じました。最近読んだ、某俳優さんのデビュー作と比べると、どうしても実力・・・以下自粛;;;

最初の章を読んで、最後に「えっ!?」と驚愕し、「読み落としてたっけ?」と思わず読み返しちゃいましたよー。砂漠で起こった殺人事件の謎を描いてるんだけど、その殺人の動機にも驚かされつつ、「そこか!」と思えるような部分でも、著者にまんまと騙されてしまって・・・。悔しい反面、やっぱり嬉しいんですよねー(笑)そして、次のスペイン編でも、恋人に関しては「えーっ、そういうことなのっ!?」と思える、ちょっと脱力しちゃうような真相でして。思わず呆れつつも、「やられちゃったなー」と苦笑いでした。そんなこんなで、その2章でスッカリ心を鷲掴みされてしまいました。

そして、その後のロシアの修道院での列聖を巡る悲劇や、南米アマゾンの奥地で発生した病から起こった惨劇にも、その文章や真相に驚き、魅了されまくりでした。それぞれのお国柄が出ているのか、テイストもそれぞれで、飽きがこないっていうかね。どれもこれも楽しめました。

そして、最終章。実は、この最終章にはちょっと・・・。それまでの独立した章を、ここで見事に繋げたのは良かったと思うんだけど、この章は残念だったなー。それまでの斉木の旅した国のお話とも違っていたというのもあるんだけど、「もう斉木のお話は読めないの?」と思えるようなお話でして。落胆が大きかった。まぁ、とはいえ、希望の持てるようなラストではあったんだけどさぁ・・・。結構、ハマっちゃった私としては、このお話は読みたくなかったというのが正直な気持ちです。

もちろん、この著者の他作品も読んでみたいと思いますが、どうかこの斉木が世界中を旅するお話はシリーズ化して欲しいものです。いつか、元気な斉木に再会できることを信じて待ちたい!




・砂漠を走る船の道
・白い巨人
・凍れるルーシー
・叫び
・祈り


(2011.02.12読了)





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この記事へのコメント

べる
2011年02月18日 07:36
新人でまだお若いのにここまで完成度の高い本格ミステリが書けるというのは素晴らしいですね。私は海外旅行が大好きなので(ここ数年は行けてませんが^^;)、自分もいろんな国を斉木と一緒に旅しているような気分で読めました。特に『白い巨人』で舞台になったスペインの都市には行ったことがあるので(作品では街の名前が変わってますが)、その時の土地の雰囲気なんかを思い出しながら読めました。ラスト一編は賛否両論あるようですね。私は良かったと思ったのですけれどね。
すずな
2011年02月18日 13:41
>べるさん
これで新人さんというのが本当に驚きでした。
べるさんは海外旅行がお好きなんですねー。実は私、飛行機が苦手なので海外には行く勇気がありません^^;行ったことのある土地のお話だと、その時のこともいろいろ思い出されて違った意味でも楽しい読書になりますよね。そんな気持ちを味わえたべるさんをとっても羨ましく思ったり(笑)
ラスト一編はお話的には好きなんですけどねー^^;もっともっと斉木が色んな国を旅するお話を読みたいと思ってたところだったので、「え?これでもう斉木には会えないの?」と思えるような内容だったのが残念で…。
2011年04月12日 22:22
こんばんは^^
凄い完成度でしたねぇ。新人さんとは思えませんでした。本当に本格ミステリです。世界中を旅しているようでした。
私もラストは何だか悲しさしか残らなくて・・・
皆さんの記事を拝見して、あぁ、そういう考え方も出来るのかと思い直しているところです^^;
すずな
2011年04月13日 12:30
>苗坊さん
ホントに新人さんとは思えない作品でしたね。
その国の情景が浮かぶようで、ミステリと共にそちらも楽しめましたよね。
ラストの章は私も苗坊さんと同じように、ちょっと残念に思ってて。でも、皆さんの記事を読んで私も思いなおしました^^;

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