聖夜(佐藤多佳子)

第二音楽室」に続く音楽青春小説の第二弾。
「第二音楽室」の方は、短編集で主人公が女の子だったんですが、この作品は長編で主人公は高校三年生の男の子。

牧師の父と祖母と一緒に暮らす一哉は高校のオルガン部に所属している。ピアニストだった母は、幼い頃に他の男性と暮らす為に家を出た。そんな環境で育った一哉は幼い頃からオルガンに親しんできた。高校のオルガン部では文化祭でコンサートを行う事になり、一哉はメシアンの難曲に挑戦する事になったのだが、その曲には幼い頃の思い出があり・・・。

「オルガン部」なんて耳慣れない部だな~というのが最初の感想でした。カトリック系の学校には、賛美歌を歌う際のオルガンを弾く為に「オルガン部」という部が存在するんだそうで、まさに「へぇ~~。」という驚きがありました。小説の中で「ピアノ」というのは良くある存在ですが、「オルガン」というのをメインにした小説はあまりないというか、私は初めて読んだ気がします。なので、「オルガン」に関する記述や含蓄も、とっても興味深く読みました。

そして、なんといっても「メシアン」ですよ!無知な私はこの小説で始めて知った作曲家なんですが・・・。こう何度も登場するとね、「一体、どんな曲なんだろう?」とかなり興味が掻き立てられますね~。一度、聴いてみたいなーと思いました。

で、主人公の一哉ですが。これがま~なんとも、生意気っていうかね、大人びた少年でして。一言で言うと「可愛げがない」これに尽きます(笑)でも、育ってきた環境とか父親の性格とかを考えると、そうなってしまったのも必然だったのかなぁ、とも思えました。で、そんな可愛げがない一哉が、文化祭でメシアンの曲をやることになってから、その曲の難解さに苦労し、過去の思い出の詰まった曲を弾くことでもがき苦しむ様子は、やっぱり彼も10代の少年なんだなぁと思えて、親しみが湧いたというか、それなりに「可愛いじゃないか」と思えました。・・・って、なんだかとっても上から目線ですが(笑)
実は、私の両親も中学生の頃に離婚してるので、一哉に共感出来る部分もあったりしたんですよねー。「あ~それは分かるなぁ・・・。」と、あの頃の自分をチラッと思い出したりもしました。

メシアンの曲と格闘した事でちょっと成長した一哉。そんな一哉のクリスマスの演奏シーンでは、ホント良かったな~と思えました。一哉だけではなく、オルガン部の他の部員達も、ね。

欲を言えば、そんな成長した一哉が母親の手紙を読んでどう感じたのか、そこまで読みたかったなぁと思ってしまいます。実は、その母親の手紙の内容も気になるんですけどね(笑)



(2011.02.03読了)



聖夜 ― School and Music
文藝春秋
佐藤 多佳子

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この記事へのコメント

べる
2011年02月12日 07:21
主人公はほんと、最初可愛げなかったですよね(苦笑)。あまりにも物事を穿った味方で見ているので、最初の方はちょっとムカっとしながら読んでました^^;
文化祭の件も「おいおい・・・」って思いましたし。でも、そこから学び取ったものから少し成長した上での、最後の演奏、とても感動しました。メシアン、私もとっても聴いてみたくなりました。演奏シーンはさすがの臨場感でしたね^^
すずな
2011年02月15日 12:45
>べるさん
主人公には最初はちょっとムッとしましたよねぇ^^;そうそう!文化祭の件も「えっ!?」と信じられなかったです。ホント可愛げなかったですね~。だからこそなのか、最後の演奏には結構ジーンとしました。
この作品を読むと、メシアンを聴きたくなっちゃいますよね。どんな曲なんでしょう。興味津々です。。。

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