Bookworm

アクセスカウンタ

zoom RSS 月と蟹(道尾秀介)

<<   作成日時 : 2010/11/05 05:41   >>

トラックバック 4 / コメント 4

面白かった!すごぉーーく面白くって読み始めたら途中で止められ無くって一気読みでした。夢中で読んだ。

・・・でも、ちょっと残念というかなんというか、ね。ホントに面白かったので、ここで「でも」って付けること自体がおかしいんだけどさぁ。でもね、やっぱり「でも」って言いたいんだよーっ。複雑なファン心理ってやつでしょうか。

父を亡くし母親と祖父と暮らす小学5年生の慎一。父親に虐待されてるらしい春也。そんな二人の子どもが「ヤドカリ」を神様に見立てて儀式を始める。最初は「お金が欲しい」など他愛の無いお願いだったのに、鬱屈する気持ちを抱えた子供たちの願いはだんだんとエスカレートしていき、そしてとうとう・・・。

「あぁ、道尾さんだなぁ・・・」と思える作品でした。不安定で繊細な子供たちの心理が淡々と語られ、不穏な空気が充満していく。慎一と春也に後から加わった紅一点の鳴海。この3人の関係が複雑で、それ故に子ども達はそれぞれ鬱屈を抱えていく・・・。読んでてドキドキが止まらない。いや増す緊張感。呼吸音すらたてられない程の、ピーンと張り詰めた空気。思わず、息を詰めての読書となりました。いや〜〜この緊迫感が堪りませんね。でも、読了後はグッタリと疲れちゃうんだけど(笑)

おじいちゃんの「お前、あんまし腹ん中で、妙なもん育てんなよ」という言葉が印象的。長い人生を生きてきた重みみたいなものを感じると同時に、孫に対する温かく厳しく、そして愛情溢れる眼差しを感じられました。ただ、その言葉がちょっと切なかったりもするんだけど・・・。

道尾作品らしく、全体的に暗く、救いの無い、やるせない、そんな作品ではあったんですが、最後はまだ少し希望というかね、未来が見えるような作品であったと思います。他作品のように、「この救いの無さをどうすればーっ!?」と叫びだしたくなるような、そんなラストでなかったことにホッとしました。

でも!でもですよ。ミステリではないんですよ。道尾作品ならではの「くぅーーーっ、ヤラレターーーっ!!」と叫んじゃうようなどんでん返しは全くない。面白くなかった訳ではないんだけど、著者にまんまと騙されたっ!掌の上で転がされちゃったよーっ!なんていう、悔しさ半分嬉しさ半分な気持ちを味わえなかったのはちょっと残念でした。次作はそんな「まんまと騙される」作品を期待したいなぁ・・・。



(2010.10.26読了)



月と蟹
文藝春秋
道尾 秀介

Amazonアソシエイト by 月と蟹 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

トラックバック(4件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
道尾秀介/「月と蟹」/文藝春秋刊
道尾秀介さんの「月と蟹」。 父親の働く会社が倒産し、鎌倉で一人暮らしをする祖父と同居し始めて二年。一年前に父が亡くなり、 小五になった慎一は、つましい借家で母と祖父と三人で暮らしている。転校して以来、クラスメイト たちからは孤立し、嫌がらせを受けている慎一だったが、唯一同じ引越し組の春也とだけはウマが 合い、行動を共にしていた。ある日、二人は廃業した飲み屋の裏側に秘密の場所を見つける。そこで 二人は、ヤドカリを神に見立てて願いごとをする遊びを思いつく。すると、願った通りの... ...続きを見る
ミステリ読書録
2010/11/06 00:37
本「月と蟹」
月と蟹 ...続きを見る
<花>の本と映画の感想
2010/11/13 14:53
「月と蟹」道尾秀介
月と蟹(2010/09)道尾 秀介商品詳細を見る 鎌倉市にほど近い海辺の町で慎一が暮らしはじめたのは二年前、小学三年生の夏だった。父が働いていた商事会社が倒産し、祖父の暮らすこの町に越してきたのだ。その父... ...続きを見る
しんちゃんの買い物帳
2010/11/14 11:30
子どものこころ
小説「月と蟹」を読みました。 ...続きを見る
笑う学生の生活
2011/10/16 20:19

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
読ませる吸引力はさすがだったのですが、鬱屈した主人公の内面描写にはちょっと辟易しました。ヤドカリのシーンも気持ち悪かったし・・・。
道尾さんだけに、ラストの人影の部分ではいろいろと深読みしたくなってしまいました(苦笑)。でも、やっぱり派手などんでん返しのミステリが読みたいですよね。
べる
2010/11/06 00:40
>べるさん
そうそう。あのヤドカリのシーンは気持ち悪かったですよねぇ;;;それでも、つい引き込まれて面白く読めたんですけどね^^;
ラストの人影…私はサラリと流してしまったんですが、もっと深読みするべきだったのかなぁ;;;とべるさんのレビューを読んで思いました。
面白く読めた本作でしたが、やっぱり道尾さんのミステリが読みたいですよね〜!
すずな
2010/11/11 12:39
小学生の屈折した思いが、うまく描かれていましたね。
こういう、文芸色の濃い作品もいいけれど、やはり、だまされたって思える作品が恋しいです。

2010/11/13 14:56
>花さん
小学生たちの心理描写が上手くって、暗く重い印象が多いのについつい惹き込まれて読んでしまいましたね。
これはこれで良かったと思うんですが、大どんでん返しな作品も読みたいですよねーっ!
すずな
2010/11/15 12:54

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
月と蟹(道尾秀介) Bookworm/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる