ゆんでめて(畠中恵)

「しゃばけ」シリーズ第9弾。5編の連作短編集。

面白かった!
「あの時、ちゃんと予定通りの道を進んでいたら・・・」進むべき道を進まなかったお陰で、屏風のぞきを失ってしまった若だんな。人生最大の後悔を抱えた4年間を、1章毎に時を遡って描いてある。若だんなが予定と違った道を進んだ後、お話はいきなり4年後に飛ぶ。そして、1年ごとに時間を遡る構成。最初はこの構成に戸惑ったんだけど、ラストで「なるほど!」となった。この構成が効いていましたね~。


なんだかかなりネタバレ感想となっちゃいました。未読の方はご注意ください。私的には、ここで引き返していただくことを強くお勧めします。。。




兄の所へ向かう途中のとある分かれ道。ホントは弓手(左)に進まなきゃいけなかったのに、馬手(右)に進んでしまった若だんな。

・ゆんでめて
あれから4年後、失ってしまった屏風のぞきを探す若だんなは、評判の事触れに会いに行く・・・。「どうしてあの時・・・」という若だんなの後悔がひしひしと伝わってくる。読者としてもかなりビックリでしたよ!え?あの屏風のぞきが行方知れず?まさか、このまま会えないの!?そんな不安も感じさせられてドキドキしました。

・こいやこい
あれから3年後。屏風のぞきの修復の為に腕の良い表具師を紹介してくれた七之助へ、お礼に向かった若だんな。そこでは七之助の縁談話が持ち上がっており・・・。前章で屏風のぞきはどうなるのっ!?と心配して、この章ではてっきりその後の「屏風のぞきの探索」が描かれるのかと思いきや時が1年遡っていた。えぇーっ?てことは、屏風のぞきは行方知れずのまま!?不安がいや増す。ちょっと、ちょっとっ!と心の中で突っ込みをいれつつ読みました。そしたら・・・。若だんなにもとうとう良い人が現れちゃったのね・・・と、寂しさ半分、嬉しさ半分の心持。

・花の下にて合戦したる
あれから2年後。若だんな達は妖たちも一緒に桜の名所、飛鳥山へ花見に行く事に・・・。花見の席でチラっと会った生目神様の一言が気になりつつ、とんでもない騒動巻き込まれてしまった若だんな。不思議な体験もしつつ、それでも大いに楽しんだ花見。若だんなの傍らには調子が悪いながらもまだ屏風のぞきがいた。

・雨の日の客
あれから1年後。江戸は大雨続き。このままでは家が水に浸かってしまうので、みなで避難する事に・・・。不思議な珠を持つおねとの出会い。鳴家達がかわいいーっ!そして、クールな佐助がっ!普段は見られない照れる佐助に、思わず「か、可愛いっ!」とか呟いちゃったり(笑)

・始まりの日
そして、若だんなの後悔が始まった日。ラストにホッとした~。だから、こういう構成になってたのか!と納得。・・・納得したんだけど、ということは、おねともかなめさんとも会えなかったことになるし、花見もなかったことになるのかな。しょうがないこととはいえ、それはちょっと寂しいなぁ。

人はいつも、大なり小なりに右か左かの選択に迫られる。あの時、ああしなければ・・・、ああしておけば・・・、そんな思いに囚われる時もある。後悔はしないと思っていても、上手くいかなかったりすると、やっぱり後悔してしまったりもする。あの時、もし違った選択をしていたら、今とは違った出会いがあり、違った人生を歩んでいたのかもしれない。だけど・・・。自分の今を思い、後悔もあり、肯定もあり、ちょっとびみょーな気持ちになったのでした。




・ゆんでめて
・こいやこい
・花の下にて合戦したる
・雨の日の客
・始まりの日


(2010.09.26読了)




ゆんでめて
新潮社
畠中 恵

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この記事へのコメント

べる
2010年09月29日 07:28
これは構成の巧さに感心させられました。冒頭の一作でものすごーーーくショックを受けていたのですが、ラストで胸をなでおろしました。ただ、やっぱりその間のエピソードがすべて・・・なのはちょっと残念ではありますよね。でも、私は一太郎が悲しい涙を流さないで済んだことですべてが報われた気持ちになりました。私も両親や妖怪たちと一緒で、一太郎には甘甘なんです(苦笑)。
すずな
2010年09月29日 12:46
>べるさん
最初は戸惑ったんですが、この構成がホントに良かったですよね~!冒頭の一作ではショックを受けますよねぇ…。どうなることかとドキドキしました。
ラストでホッとしつつも全てが…なのはちょっと;;;とも思ったんですが、言われてみれば確かに、一太郎が悲しい思いをしないで済んだってことは私も良かったな~と思えます。ま、私もべるさん同様一太郎には甘甘ってことですね(笑)

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