十字架(重松清)

読む前から分かってたけど、本当に重かった。そして、やるせなかった。辛かった。

中学二年でいじめに耐えられず自殺したフジシュンの遺書には4人の名前が書かれていた。いじめの首謀者2人、「ごめんなさい」と謝られた彼女、そして、ただの幼馴染だったのに親友と書かれた”僕”。中学卒業、高校進学、大学進学、就職、結婚、子供の誕生・・・と、時は流れる。その二十年間の物語。

もうね、なんていうかね。何で私はこの作品を手に取ろうと思ったんだろう、それも予約までして・・・と、後悔とまではいかないまでも、それに近い気持ちで読みました。自殺した幼馴染に親友と名指しされた”僕”の視点で語られる物語。これはキツイ。

前半は、周りの大人に腹立たしさを感じずにはいられない。特に記者の二人には怒りまくりました。男性記者の言葉はね、「そんな言い方をしなくても・・・」と思いつつも、真実を突いていると思うのでそこまではなかったんだけど、女性記者には怒り心頭って感じでしたね。フジシュンの両親の為に、真実を口にするな、それはキミが背負えみたいなことを言う。中学生だよ。中学生っていったらまだ子供だよ。子供にそんな重荷を背負わせるのかーっ!と、本に向かってぶつくさ文句タラタラ言い募ってしまいましたよ。確かに子供に自殺された親に、それ以上の哀しみというか、そんな真実を明らかにすることには躊躇を覚えるよ。覚えるけど、中学生の彼らにそれを一人で背負えっていうのは、どうかと思う。真実を知った上で・・・。フジシュンの両親には言えないのなら、せめて彼らの両親に伝えることだって出来ると思うんだけどね。

そうそう。その両親なんだけど。この物語では”僕”の両親は本当に脇役も脇役で。自殺したフジシュンの両親と彼らの物語だっていうことは分かるんだけど、”僕”の両親の存在があまりにも小さすぎると思った。すんごい違和感。中学生なんだから、もっと両親との関わりってあると思うし、親だって関わっていくと思うんだけどなぁ・・・。そういう部分でリアリティが感じられず、ツクリモノっていう感覚が強く残ってしまった。

子供に自殺された親の為にと言い募る記者。彼らにただただ怒りを覚えるのは、私が子供を持たないからなのかな。子供を失った親の気持ちというのは、想像することは出来ても本当に子供を持たなければ全てを理解することは出来ないんだろう。だから、つい親よりも残された子供の立場に立ってしまうんだろうか・・・。そういう風にも考えてみた。でも、やっぱりね、遺書に名前を書かれたということ、それにさらに重荷を背負わせるっていうのはね・・・と思ってしまいます。

中学生で同級生が自殺して、遺書に名前を書かれた”僕”。たとえそれが「親友」という言葉であっても、重荷以外のなにものでもない。そして、その重荷は誰かに変わってもらえるものではなく、ずっとずっと背負っていかなければならない。実際に、こういうことに、こういう形で関わった人々は、こんな風に人生を歩んでいるんだろうなぁと思った。。「時間が解決してくれる」そんな言葉のなんと軽く空虚なことなんだろう。・・・なんて、なんてシンドイことなんだろう。やるせなさばかりが募る。たまらない。

なんだかいつも以上に、とりとめなく感情的な感想になってしまったような気がしますが・・・。

ラストは前向きな感じではあるものの、それまでが重すぎて・・・。あれだけでは、読了後の居心地の悪さっていうか、そういうものは到底、払拭できるものではありませんでした。ただただ辛く、やるせない物語でした。でも、それが現実なんだろうと思わせる物語ではありました。



(2010.05.02読了)




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この記事へのコメント

2015年01月31日 14:08
こんにちは、こちら私も先日読みました。
ほんとに、ほんとに重たかったですね;;

思春期にこんな体験をしたら、大人になって苦しみそう。。。ただでさえクラスメイトな時点で、自分にも助けられなかった責任はあるかもしれない、なんて少しでも考えてしまうところを、遺書に名前って・・・重すぎる・・・。
なんというか、正義を盾にして誰かを責めたりしてはいけない、なんてことを改めて感じさせられました。

(トラックバック送受信できるようになったのですが、もしかしたら重複して送ってしまったかもしれません;)
すずな
2015年02月01日 11:30
>yocoさん
もう今、思い出しても気持ちが下がっちゃうくらい本当に重かったです。
中学生で同級生の遺書に名前があったなんて、想像しただけでもたまらない気持になりますね。

トラックバックですが、こちらは大丈夫でした。ありがとうございました。ただ、こちらからも伺ったのですが、yocoさんのサイトへのトラックバックとコメントがちゃんと出来てないかもしれません。その時は後日、挑戦してみますのでお待ちくださいね。すみません。。。

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  • 「十字架」  重松 清

    Excerpt: 十字架 (講談社文庫) いじめを苦に自殺したあいつの遺書には、僕の名前が書かれていた。 あいつは僕のことを「親友」と呼んでくれた。でも僕は、クラスのいじめをただ黙って見ていただけだったのだ。 あいつは.. Weblog: BOOKESTEEM racked: 2015-01-31 14:02