天国旅行(三浦しをん)

「心中」をテーマにした短編集。

ということで、手に取るのを躊躇してたんですよね。躊躇っていうか、「読まない」って思ってたといった方が正しいかな。だって、テーマが「心中」ですよ!すんごい重そうだし、私の苦手な部類の”しをん作品”のような気がして・・・。ところが、旅先の本屋さんでウッカリ手に取ってしまって(笑)中身をチラリと拾い読みしたら、思ってたようなお話とは違うみたいだったんですよね。なので、旅から帰ってからすぐに図書館へ予約をいれました。・・・買わなくってすみません;;;

「心中」がテーマでしたが、誰もがみんな死ぬ訳ではなく。てか、誰も死なない?びみょーにぼかしてあるところはあるけど。「死」のやるせなさとか救いのなさを感じる作品ではなく、逆に希望とか、そういうものを感じる作品が多い短編集でした。もちろん、テーマがテーマだけに重かったり、暗かったりというのはあったんだけどね。でも、全体的な印象としては、「前向き」という感じかな。てかね。「心中」をテーマにしたのに、ついつい「うぷぷぷぷ」と笑わせてくれるところなんかは、さすが、しをんさん!って思っちゃいます。

好きだったのは「森の奥」「初盆の客」「SINK」かな。
樹海の中で自殺しようとしたおじさんが若者と遭遇し、一緒に樹海の奥へと進む事になった「森の奥」。いけない、と思いつつ、ついつい笑っちゃいました。おじさんには良かったな~と思いつつ、若者のその後が気になります。どうか無事でいて欲しい・・・。
おばあちゃんの初盆に訪れた、不思議なお客様のお話を描いた「初盆の客」。こういう「心中」っていうのもアリなんだな、と思った。このおばあちゃんは素敵というか、凄い。最後は、うわー良かったねぇ!と素直に喜べる展開にニッコリでした。
そして、一家心中で生き残った青年を描いた「SINK」。決して明るい話ではなく、どっちかっていうと暗く思い感じなんだけどね。とても印象に残った作品でした。それでも、最後は少しは希望というかね、青年の心の重石がちょっとだけでも軽くなったんじゃないかな、と思えるラストで良かったです。

で、逆に展開が読めてしまって、うーむ;;;と思ったのが「星くずドライブ」。ま、でも、ラストはちょっと意外な感じではあったけれど。

・・・と、考えると、ハズレの無い短編集だったのかな。食わず嫌いにならなくて良かった!と、改めて胸を撫で下ろす(笑)





・遺言
・初盆の客
・君は夜
・炎
・星くずドライブ
・SINK



(2010.05.25読了)





天国旅行
新潮社
三浦 しをん

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この記事へのコメント

べる
2010年06月01日 07:25
『心中』ってところがしをんさんらしい切り口で良かったですね。私も続きが気になる作品がいくつもありました。私も一番好きだったのは『初盆~』ですね。『SINK』は二人の友情(愛情?笑)の部分が中途半端だったのでちょっと消化不良でした。個人的には『遺言』の意味深さに一番驚かされたかも。夫婦の話かと思いきや・・・ってところの仕掛けが絶妙で巧いなぁ、と膝をたたきたくなりました。
すずな
2010年06月02日 12:52
>べるさん
「初盆~」は良かったですよね。最後は、ほんわかとなれました。「SINK」は中途半端と言われれば確かに…。その後の二人が気になりますね~。「遺言」は…え?深い意味…ち、ちょっと読み直してみるべきのような気が…(焦)
2010年06月19日 00:20
こんばんわ。
私も「光」を読んだときに衝撃を受けたので、読むのをどうしようかなと思っていたのですが。でも、しをんさんの作品を読まないなんて!と思い、図書館で予約しました^^
どの作品も面白かったです。心中で面白いと言うのは不謹慎かもしれませんが。
「森の奥」の若い男と中年の男っていうところで、笑いそうになりましたが、最後は切なかったですね。
すずな
2010年06月21日 12:49
>苗坊さん
タイトルにちょっと手に取るのを躊躇しちゃいましたよね。読んで良かった!と思いました。
心中で面白いっていうのは私も不謹慎かな、と思ったんですが、つい…^^;「森の奥」は、どうかあの若者も…と祈りたくなるラストでしたね。
2011年04月19日 22:45
すずなさん こんばんは
しをんさんって色々なタイプの作品を書く人だけど、この短編集もバラエティに富んでいて楽しめました。今度はエッセイに挑戦しようと思います!!
すずな
2011年04月20日 12:42
>yoriさん
そうですよねー。しをんさんの作品は色んなタイプがあって、どれも楽しめるのがいいですね。
実は私もエッセイは読んでない…ような気が^^;今度、挑戦してみようかなぁ…。

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