女中譚(中島京子)

うーむ、やっぱりこの作家さんはびみょーだなぁ。合うのと合わないのがある。「ダメ。もう全然ダメ。」って訳じゃないんだけど、なんだかどうもシックリこないなーって感じのものがあったかと思えば、楽しめる作品がポツポツあったり。でも、この作家さんのタイトルには惹かれちゃうんだよね(笑)なので、「今度は大丈夫かな?」とか思って、つい手に取っちゃう。で、今回はちゃんと読了したけど、途中で挫折したものも数作あったりするのです;;;

林芙美子の「女中の手紙」、吉屋信子の「たまの話」、永井荷風の「女中の話」をトリュビュートして書かれた3篇の連作集。3篇とも元のお話を読んでないのはちょっと残念だったなぁ。でも、読んでなくても大丈夫。・・・だったと思う。たぶん、きっと(笑)

一人の老婆が、秋葉原のメイド喫茶で昭和初期に女中をしてた頃の体験を語る、という構成。なるほど、女中=メイド喫茶か!言われてみれば確かに~!と、そういう部分ではテンションが上がりました。

先にも書きましたが、元となった3篇の作品を読んだ事はないんですが、作者の違う3篇を上手に繋げたな~と思いました。元ネタが違う作品とは思えない。今ではうらぶれた老婆となったすみが、若かりし頃の昭和初期をしたたかに生き抜いた様子が綴られる。失業男と一緒になって世間知らずのお嬢様に仕掛ける悪巧み、独逸帰りのお嬢様と危うい関係に陥ったかと思えば、文士先生宅で住込み女中をしながらこっそり舞踏練習所に通って踊り子を目指す。なんというかね、欲望のままに生きた、したたかな女性そのものという感じ。まさに自由奔放。あの頃を謳歌しまくった女性の生き様ですね。

そんな女性が、おそらくあの世間を騒がせた「連続殺傷事件」が起こった瞬間、秋葉原の一角で蹲るラストはとっても印象的でした。

こうやって感想を書くと、それなりに楽しめた作品だったとは思うんだけど、またすぐにこの著者の他作品を手に取りたいとは思えない;;;当たりハズレがあって、ハズレの方が多かったりするからかな。でも、中には「楽しかった!」ってのもあるからね~。ホントにびみょーな感じ(笑)



・ヒモの手紙
・すみの話
・文士のはなし



(2010.05.22読了)




女中譚
朝日新聞出版
中島 京子

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この記事へのコメント

2010年05月26日 22:37
すずなさん、こんばんは(^^)。
元女中・すみのしたたかな気風の良さが、カッコよかったですねぇ。
女中=メイドの構図は、なかなかおもしろかったです。
すずな
2010年05月28日 12:53
>水無月・Rさん
女中=メイドっていう発想が面白かったですね。すみのしたたかさ、私は1話目の「ヒモの手紙」では「それってどうよ?」と思ったんですが、2話目以降ではカッコよくかんじられました。

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  • 『女中譚』/中島京子 ○

    Excerpt: 実は元ネタになる作品をよく知らなかったりするんですが、中島京子さんの〈本歌取り〉小説、面白かったですよ~。 タイトル『女中譚』そのまんまの、女中の物語。 そっか~女中と言えば、メイドなわけで、メイ.. Weblog: 蒼のほとりで書に溺れ。 racked: 2010-05-26 22:34