自白 刑事・土門功太朗(乃南アサ)

連作中篇集。

なんだか、久々に乃南さんの刑事物を読んだなーと言う気がする。刑事物じゃない作品も好きだけど、最初に読んだ乃南作品が刑事物だったからか、こういうのがなんかシックリくるっていうか、最後まで安心して読めるんだよね。

舞台は平成ではなく昭和40~50年代。時系列はバラバラ。主人公の土門の若かりし頃だったり、部下に「オヤジさん」と呼ばれる頃だったり。それでも、違和感無くスンナリ読めたのは、その時代を彩った流行歌だったり、出来事がそこここに織り込まれていたからかな。「矢切の渡し」「圭子の夢は夜ひらく」「日航機墜落事故」「ホテルニュージャパン火災「東京ディズニーランド開園」などなど。あ~この頃の話かぁと、あの頃を懐かしく思い出したりもしました。土門の娘たちの成長も挿入されてて、そういう部分も良かったなぁ・・・。

と、なんだか刑事物とは無関係な話ばかりしちゃいましたが(笑)ちゃんと刑事物らしい内容だったんですよ~!

プロローグで犯人や被害者、時には犯行状況を開示してから本編が始まるという構成。この構成も楽しめた要因かな。土門達が進める捜査を、「そっち、そっち」「あ~そうじゃないのよーっ」と、言ってしまえば「神の目線」で読めたのは楽しかったっていうか、面白かった。最後に明かされるというのも、あれこれ推理できて面白いんだけど、こういうのも、また別の楽しみ方があっていいんですよね。まぁ、目新しい手法ではないんだけど、なんだか新鮮な気持ちで読めました。

昭和40~50年代といえば、今のように科学捜査もそこまで発達していなかった時代。まぁ、今でも基本は変わらないんでしょうが、地道な捜査、長年の経験と勘でいくつもの手がかりをつなぎ合わせて結論を導き出す。そして、ひとつずつ積み上げていく証拠の数々、犯人との心理戦などなど、時にはハラハラドキドキ、時にはワクワクしながら最後まで一気読みでした。タイトルにもなってるように、土門と犯人の心理戦、犯人を自白に追い込む過程には一番、ドキドキワクワクさせられました。面白かった!これ、シリーズ化されないかなぁ・・・。


・アメリカ淵
・渋うちわ
・また逢う日まで
・どんぶり捜査


(2010.05.22読了)



自白―刑事・土門功太朗
文藝春秋
乃南 アサ

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