花宵道中(宮木あや子)

第5回R‐18文学賞大賞&読者賞受賞作。江戸末期の新吉原.。小見世の山田屋を舞台に遊女達の切ない恋を描いた連作短編集。

いろんな読書ブログ様で評判の高い宮木さん。最初に読んだのは、ちょっと毛色の変わった作品だったようで(笑)その時に、オススメされたのが著者のデビュー作である本書。実は、随分前から職場の同僚から回ってきてたんですが、ずっと積読本の山に埋もれていたんです。ようやく読めてとっても嬉しい。

や~評判通り、いや、それ以上に良い作品でした。これがデビュー作ですか!と思わず唸ってしまいます。凄いです。

R-18文学賞だし、吉原の遊女を描いているので、官能的な文章が当然のように散りばめられていますが、なんていうんでしょうか、”卑猥”という言葉が全く似合わない、そんな印象を受けます。ぞくぞくするような艶があって、一瞬で作品世界にのめり込んでしまいました。

自分の意志とは関係なくこの仕事に就かされ、”仕事”として男たちに体を開く遊女達。叶わぬ恋に人知れず身悶えしながら、それを周囲に悟らせる事なく自分の”仕事”を全うする。哀しみ、切なさ、憤り、諦め・・・。それらが、しんしんと沁みてきて、胸をぎゅーっと締め付けられました。

遊女達だけではなく、彼女達と関わった男や女将の話などもあって、視点を変えて遊女達を見るというのも良かったなぁと思います。それにしても、最初の事件の真相が分かった時には、かなり驚きましたね~。そんな仕掛け?もあるのか!と唸らされました。まぁ、よく考えるとね、ちょっとご都合主義的な部分も無きにしもあらずですが、読んでる時はそこは気にならなかった。ただただ、それぞれのままならない想いが切なくって、苦しくって・・・。

救いの無いラストも多かったですが、最後のお話があれで良かった。少しでも温かい気持ちになれて、最後は思わず涙腺が緩んでしまいました。

はぁ。堪能したなぁ・・・。




花宵道中 (新潮文庫)
新潮社
宮木 あや子

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この記事へのコメント

2010年01月31日 23:02
すずなさん、こんばんは(^^)。
これがデビュー作なんですから、驚きですよね~。
R-18文学賞といっても卑猥ではなく、遊女たちの凛とした心意気が素晴らしかったですね。
彼女たちはままならぬ世界にありつつも、一生懸命、凛として誇りを持って生きていたんだなぁ…と、切なくも清々しい気持ちになりました。
すずな
2010年02月02日 05:33
>水無月・Rさん
ホント、これがデビュー作って言うのは驚きです!
その通りで、遊女達の切ない恋と凛とした強さに心を揺さぶられました。
ステキな作品をご紹介いただいて本当にありがとうございました!
2010年04月01日 00:48
すずなさんこんばんは。ご無沙汰して申し訳ありません。『野良女』はタイトルとあらすじを見て、同姓同名の違う作家なんじゃと、しばらく疑っていました。
この作家さんの場合、現代ものよりも少し時代がかった舞台の方が良さが出る様な気がします。『白蝶花』もかなりいいですよ。
すずな
2010年04月11日 07:44
>たまねぎさん
こちらこそ、すっかりご無沙汰してます;;;おまけにコメントも遅くなってしまいましたm(__)m

「野良女」は本当に同姓同名の違う作家さん?と思っちゃいますよね~(笑)
「白蝶花」も積読本の山のどこかに・・・;;;はやく読まなきゃ!
2010年08月11日 15:31
はじめまして。
いつもブログを読ませて頂いてます。
いさごと申します。

早速の質問で申し訳ないのですが、
花宵道中は、
中学生が読んでも大丈夫でしょうか
すずな
2010年08月12日 12:36
>いさごさん
はじめまして。コメントありがとうございます♪

うーん;;;これは答えるのが難しい質問ですねぇ^^;
読む人それぞれで受け取り方、読み方などが違うと思いますし。せっかくコメントいただいたんですが、これには私はちょっと答えられないです。本当にごめんなさいm(__)m
2011年09月15日 11:06
遅ればせながら、読みました。
艶めいて、うっとりするような小説でした。
もちろん、悲しみや悲惨さ、猥褻さも含むのですが、そこに立ち止まらない感じがよかったと思います。
それにしても、随分と盛りだくさんで、まさに堪能という感じでした。
すずな
2011年09月16日 12:44
>香桑ちゃん
堪能したー!と思える作品だったね。うんうん。「艶めいて、うっとり」という言葉がぴったり!これがデビュー作というのが凄いよね。
機会があれば、他の作品も手に取ってみてくだされ~。

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