いつか響く足音(柴田よしき)

とある団地を舞台に「家族」をテーマにした連作短編集。

描かれている主人公の誰もが切なく、苦しい思いや事情を抱えていて、ひとりぼっちの人生を歩んでいるという設定。そして、そのひとりぼっちの人生を歩むきっかけになった出来事も語られる。結婚すると思っていた彼氏に振られたり、夫に死なれた寂しさから嫁の子育てについ口を出してしまって息子に疎んじられたり・・・。なので、最初は読んでて気持ちが重くなるような、そんなお話ばかり。

メインは借金まみれのキャバクラ嬢なのかな。主人公はお話毎に変わりつつ、そんな彼らと関わったキャバクラ嬢が、どうにもならないどん詰まりからそこを抜け出そうとするようになるまでが描かれている。そこはホッと出来る。優しい気持ちにもなれる。あ~良かったなぁと素直に思える。だって、この彼女は前向きに希望を持って進めるようになったんだから・・・。

でも、団地で暮らす彼女と関わった人々はどうだったんだろう。たしかに、なんだか「めでたし、めでたし」なラストではあったにはあったし、ひとりぼっちとはいえ、そんな人々が交流し、なんだか温かい優しい空気が生れてはいたんだけど。でも、彼らが息子夫婦と和解したり、夫を殺してしまったという思いが消えたわけではないんだよねぇ。元キャバクラ嬢は良かったけど、他の人は・・・と思ったとき、「あれ、彼らは・・・?」と素直に”めでたし、めでたし”とは言えない気分になっちゃいました。私が変なとこに拘りすぎなんでしょうか。

えーーと。ちょっと辛口気味な感想になっちゃいましたが、読後感はそれなりに良かったし、好きな作品ではあったんですよ。あったんだけど、こう喉に小骨が刺さって取れないような、、そんなびみょーな気分でスッキリしないんですよねぇ・・・。うーーん。




・最後のブルガリ
・黒猫と団子
・遠い遠い隣町
・いつか響く足音
・闇の集会
・戦いは始まる
・エピローグ




いつか響く足音
新潮社
柴田 よしき

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