あした咲く蕾(朱川湊人)

不思議な力を持った人や不思議な体験をした人々を描いた短編集。

昭和のかおり漂う、ちょっと切なく、優しく、そして温かな物語7編。すこーしだけハラハラして、最後はうるうるっと涙が滲む。家族や友人との交流を描いた、朱川さんらしい短編集だなぁ、と思いました。

どのお話もそれなりに良かったんだけど、敢えて挙げるとすれば「雨つぶ通信」「カンカン軒怪異譚」「湯呑の月」が好きかな。

「雨つぶ通信」は、複雑な娘心に私の体験が重なって微妙な気持ちになったり、幸せな結末にはホッとしたりしました。

「カンカン軒怪異譚」はね、おばちゃんのパワーにヤラレました。それに、なんと言っても、おばちゃんの作る「ネギ卵チャーハン」が美味しそうで。食べたいよーっ!と心で叫びながらの読書となったのは言うまでもありません(笑)

「湯呑の月」はね、儚げなおばちゃまの芯の強さにゾクゾク。ひやり、としたよー。この短編集の中で一番怖かったのは、このおばちゃまでした。ちょっとホラーテイスト気味なのもあったし。

実はですね、読む前は長編or連作短編集だと思ってたので、2編目を読んだ時に少しだけがっかりしちゃいました。ま、そういう勘違いはいつものことなんだけど(笑)おまけに、途中で展開やラストがほぼ予想出来ちゃうあたりも、物足りないといえば物足りない。でも、そういうものを補って余りあるくらい、とーっても優しい時間を満喫できたので良し。ちょっとホッとしたい時には、こんな物語がいいですね。切ない結末もありましたが、すごく癒されます。



・あした咲く蕾
・雨つぶ通信
・カンカン軒怪異譚
・空のひと
・虹とのら犬
・湯呑の月
・花、散ったあと




あした咲く蕾
文藝春秋
朱川 湊人

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