あるキング(伊坂幸太郎)

今までの伊坂さんとはちょっと趣が違う、でも、あ~伊坂さんだな、と思える作品でした。すんごく矛盾してるとは思うけど・・・。

野球の天才「王求」の、誕生から23歳までを描いたお話。

なんていうかね、小さい時から「天才」だとこうなっちゃうんだろうなー、確かにそうだろうなーと思えるエピソードが並んでました。小学生の時から、バッターボックスに立てばストライクしか打たない、打てば全てホームランじゃ、チームメイトの子供達は一緒にやってて楽しさがだんだん減っていくだろうし、相手チームは敬遠ばかりしたくなっちゃうよなぁ・・・。分かるよ、気持ちはね。そういや、敬遠ばかりってところで、かつての松井選手を思い出した。あったよなー、甲子園で物議を呼んだ出来事が。松井選手は「打てば全てがホームラン」だった訳でもないのに、よく敬遠されたんだもん。現実に王求みたいな選手がいたら・・・そりゃ、敬遠されまくっちゃうんだろうなぁ・・・と納得。でも、王求自身はそれを悔しがってる風もなく、淡々と野球に取り組む。天才ゆえの苦悩みたいなものも全く描かれない。なんかね、違和感。

王求は野球が楽しかったんだろうか。好きだったんだろうか。打てるのが当然で、打てない悔しさとか辛さを感じなくても済んだ分、打てた時の喜びも感じられなかった訳だよねぇ。どこに野球を続ける意義というか、そんなものを見出していたんだろう。野球のどこにそんな魅力を感じていたんだろう。一度、プロ野球への道を絶たれた後、どうして彼があそこまでしてプロに拘ったのか。そこら辺の彼の気持ちがイマイチ分からなかったんだよねぇ・・・。ある意味、「それが彼の運命だったんだから。」って有無を言わさず突きつけられたような、そんなお話でしたね。

と、ちょっと辛口系コメントでしたが、作品自体は結構、面白く読めたんですよー(笑)



あるキング
徳間書店
伊坂 幸太郎

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この記事へのコメント

べる
2009年10月20日 07:33
こんにちは。私はかなり厳しい評価をしてしまいました。ひとつひとつの要素や設定が、どうもちぐはぐな感じがして、巧くはまっているように感じられなかったです。野球もあまり好きではないので、題材自体にも惹かれるものがなく、ストーリーにも起伏がないので、最後まではまりきれずに終わってしまいました。伊坂さんの新境地作として評価される方は多いようですが、残念ながら私が求める伊坂作品ではなかったです。
すずな
2009年10月25日 11:50
>べるさん
残念な読書でしたね~;;;
たしかに、淡々としすぎる王求に違和感を感じたり、存在意義のわからない人物が登場したりもしましたが、私はそれなりに楽しめた1冊でした。まぁ、新境地作としてそこまで評価はしませんが・・・^^;
2010年01月15日 00:24
こんばんわ。TBさせていただきました。
面白くて読む手が止まらなかったです。
でも、やっぱり悲しくて切なかったです。
王求は自分の人生で楽しいと思うことが少しでもあったのか、読み終えた後そればかり考えてしまいました。
親の愛情も、野球に関してはどこかゆがんでいて、怖さも感じました。
ひどいことをかいてますが、私も面白く読んだんです^^;
すずな
2010年01月15日 17:14
>苗坊さん
面白いんだけど、でもちょっと…と心から楽しめない部分もある作品でしたね。私も王求は、楽しかったんだろうか?と、そればっかり考えてしまいました。
2010年02月26日 23:08
すずなさん、こんばんは(^^)。
私も「王求は人生楽しかったんだろうか」という疑問を覚えました。
あんなに圧倒的だと自分自身が麻痺しちゃうのかなぁ、哀れな人だなぁ…、と。
救いのなさが、物語になる。なんとなく、悲しいですね。
すずな
2010年03月06日 10:37
>水無月・Rさん
そうですね。「うわ、すごなー!」ではなく、どちらかというと「哀れだなー」と思ってしまいますね。
読後感もそんな感じで、すっきりしないというかなんというか…。水無月・Rさんが書かれているように、救いのなさが物語になるって、ホントちょっと悲しいですね。

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