獣の奏者Ⅳ 完結編(上橋菜穂子)

シリーズ4作目にして最終巻。

どうか、どうか、どうか、最後は家族3人に穏やかな暮らしが待っていますように・・・どうかっ!そう祈りながらの読書となりました。

あぁ、もうね、何から書いていいのかわかりません。というか、感情の大きさに言葉が出てこない。エリンやイアル、ジェシ、エサル、セィミヤ、シュナン・・・様々な人が、己の立場で最善と思える方向に向かっていく。どれが正解でどれが間違いかなんて、はっきりと白黒つけられることではないし、誰かの判断が悪かった訳でもないことなんだけど。それでも、みんなが傷を負わず穏やかな暮らしを続けていければよかったのに、そんな方法がどこかにあったんじゃないんだろうか・・・と思わずにいられません。

過去を隠す事が良い結果に繋がる訳ではない。確かに、人間は知恵があっても愚かな行為を繰り返すどうしようもない生き物なんだろうけど。でも、だからこそ、掟を破った時、どんな結果が待っているのか、キチンと後世に万人に伝えていく事が大切なんだ。そう本文の中にも書かれていましたが、その通りではないかなと思いました。過去に何が起こり、なぜ掟が作られたのか。伝わっていれば、リョザの人々の選択も違っていただろうと思うと、たまらない気持ちになります。

エリン、イアル、ジェシ。3人それぞれが家族を想う。一人の力ではどうすることも出来ない事が沢山あるんだけど、それでも諦めず、なんとか3人で穏やかに暮らせる方法がないだろうかと必死で模索するその姿。その愛が何度も何度も痛い程伝わってきて、途中、その度に涙してしまいました。

そして、最後の章の最初の行を読んだ途端、溢れ出す涙を止める事が出来なかった。やっぱり、そうなったのか・・・。この結末しかなかったんだろうとは思うけど、それでもなんとか・・・と、思わずにはいられません。

著者はどうして、あの時エリンを「残された人々」に会いにいかせなかったのでしょうか。どうして、あのタイミングでしか「残された人々」を登場させなかったのでしょうか。だからこそ、著者の想いが切々と伝わってくるということを否定はしませんが、エリンの過酷な人生を想う時、切なく堪らない気持ちになってしまいます。ただ、エリンの想いがちゃんと後世へと引き継がれ伝わっていて、ジェシや獣たちが穏やかな日々を送れる世になっていたことだけが救いでした。


ファンタジーながら清々しいラストではなく、苦く切ない思いの残る作品でした。



獣の奏者 (4)完結編
講談社
上橋 菜穂子

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この記事へのコメント

piku.chibiの母
2009年09月28日 10:55
こんにちは。
お久しぶりです。
すずなさんの感想を読み、1巻より読み始めました。
文庫本なのでまだ、1.2巻しか読んでませんが、早く3.4巻を読みたいです。(^_^)
文庫本が出るまで、待てないのでひょっとしたら、単行本を購入するかも知れません。(^_^;)
1.2巻もすごく考えさせられる内容でしたが、3.4巻もそうなんですね。
早く読みたい。(*^_^*)
すずな
2009年09月30日 05:06
>piku.chibiの母さん
こちらこそご無沙汰してます。なかなかご連絡できず、すみませーん;;;今年中には、きっと・・・^^;

おぉ!嬉しいお言葉ありがとうございます♪気に入っていただけて嬉しいです~。面白いけど、いろいろと考えさせられるお話ですよね。
piku.chibiの母
2009年10月30日 14:11
こんにちは。
やっぱり文庫本の発売を待てなくて、単行本を購入して読んでしまいました。(^_^;)
すずなさんの言ってたとおり、何でこんな結末なんでしょうかね。もっとハッピーエンドにしても良かったのにと思ってしまいました。
あまりにエリンが過酷な運命に翻弄されすぎたような悲しい気もしましたが、最後にジェシがエリンの志を継いでいたのがせめてもの救いでした。(^_^)

リランに笛を吹けばどうなるか、自分もどうなるかと解っていて、そうせざる得なかったエリンの気持ち、考えると涙が出てきます。(T_T)
実は、この本を読んでいるときに、私の愛猫のピクが亡くなってしまったので、気持ちが重なってしまい、涙が出てきて、どうしようもなかったです。(T_T)

久しぶりに読み甲斐のある本に出会えて良かったです。
又、良い本を教えて下さいね。(^o^)

すずな
2009年10月31日 05:50
>piku.chibiの母さん

ピクちゃん亡くなってしまったのですね・・・。ご冥福をお祈り致します。。。

はやり文庫発売は待ちきれなかったですか(笑)これは続きが気になりますよね~。
この結末は堪らないですよね。もっと別な結末があっても・・・と思いつつ、こうなったのも心の底では納得してるというか・・・複雑です。
最後の章のジェシが救いですね。

嬉しいお言葉ありがとうございます!

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