訣別の森(末浦広海)

第54回江戸川乱歩賞受賞作。

同時受賞の「誘拐児」を先に読んで、ちょっとガッカリ;;;だったんですが、こちらはそうでもなかったので良かった~。ただ、詳細すぎてクドイと思う部分と、なんだかちょっと雑だなぁと思える部分のどちらもあって、描写のばらつきがあったような・・・。ヘリとかバイクとかジョギング?などの描写は事細かで飛ばし読みしたくなるのに、恋愛部分などの人間関係の繊細な部分は物足りないというか、気持ちがイマイチ伝わらなかった。そういう、多少の不満はあるものの面白く読めました。

ドクターヘリの機長である槙村が、墜落した新聞社のヘリを救出。その怪我人は自衛隊時代のかつての部下だった・・・。

北海道の知床を舞台に、ドクターヘリ、自衛隊、自然保護とスケールの大きい物語。様々は人々の過去の事件、トラウマが絡まって、複雑化する人間関係と事件。どういうラストになるのか予測が難しかった。そんな訳で、先が気になってページを繰る手を止められませんでした。

ただ、事件の大きさに比べると、なんだか登場人物達の関係が小さくまとまってる感じが、ちょっと物足りないと言うか、ご都合主義過ぎると言うか・・・。そことそこを同一人物にするのか?とか、そこがその人ってあまりにも作為的じゃないの~?なんて、思わず突っ込みたくなる人間関係。まぁ、現実の世界でもこういう偶然が無いとは言えないけどさぁ(笑)

あとですね~。主人公、槙村の描写部分と、槙村が知らない、登場しない部分が文字のフォントを変えてあるのは、分かりやすくっていいのだけど、わざわざ変えなくても良かったような気がしないでもない。変えなくとも、読者に伝わるように書いてもらえればいいだけのような・・・。

と、内容には不満はないんですが、文章力でちょっと損したかな、と思えた作品でした。でも、次作がどんなものになるのか、ちょっと楽しみではあります。物語のスケール感に負けない文章力を磨いてもらえれば・・・。
・・・って、なんだかとってもエラそうですね;;;



訣別の森
講談社
末浦 広海

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  • 【末浦広海】訣別の森

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