テンペスト(下)花風の巻(池上永一)

テンペスト(上)若夏(うりずん)の巻」の続巻。

上巻に引き続き面白かったんだけど、でも、ちょっと失速気味かなぁ・・・な感は拭えず。うーん。

上巻以上に”ご都合主義”な点が目に付いた。付きすぎたって印象です。
まず、「真鶴=寧温」って真牛以外の誰もが気付かないっていうのが不自然すぎる。雅博も朝薫も、おまけに夫である首里天加那志もさぁ、気付けよ!っていうか、いくらなんでも気付くでしょう・・・と思うんだけどなぁ。
そして、下巻は側室として王宮に復帰した真鶴だったんで、それでずっと続くんだと思ってたんですよねぇ。それがなんだか、いきなりっていうかあっさりと寧温復活!って。あーた、それはあんまりじゃないかい;;;と、言わずにはいられない。脱力しちゃいますよ。歴史上の事実もあるから、っていうのかもしれないんだけど、これはお話なんだし。寧温を登場させずに真鶴のままでペリー提督と対峙して欲しかった。真鶴として、どういう風に対峙するのか、この危機をどう脱するのかって、すんごくワクワクドキドキしてたっていうのに、そんな安易な、またしてもその解決方法ですか;;;とガックリしちゃいました。おまけに息子にもやるのか;;;というダメ押しまであって。まぁ、お話なんだから、ご都合主義全開でもいいとは思うけど、毎回々その手を使うのはどうか、と思っちゃったんですよねぇ。後半はちょっと食傷気味。

でも、その点に目を瞑れば上巻同様、面白かったんですよー。
真美那っていうぶっ飛びお嬢様も登場したりして、笑わせてくれたし。後宮の女の闘いもすっごかったし。真牛の執念も凄かったねぇ。復活に継ぐ復活に、ただただ唖然と言うかなんというか・・・。上巻ではあんまり好きなキャラではなかったんだけど、下巻では、寧温への怨みを持ちつつも、一人の女として男性を愛したり、琉球王国への愛というか、王国を護ろうとする”女神”としての気持ちも垣間見れたりもして、真牛に対する気持ちが変わりました。そんでもって、毎日、真鶴の男女入れ替わりの苦労を見てきて、その手伝いもしてきたっていうのに、あっさり正体を暴露しちゃうお兄ちゃんにがっかりもしたり。おぃおぃ;;;酒のイキオイでそんな大事なことを暴露するかっ!?兄ちゃん、しっかりしてよぉぅ;;;というか、あんた成長してないねぇ・・・と。どういう風に正体がばれるのか?このままばれずにいっちゃうのかっ!?っていう、ドキドキハラハラもあっただけに、これまたあっさり・・・そんなバレ方ってありなのかっ!?と、文句のひとつも言いたくなったりもしちゃいました。

あと、”女性”の扱いがちょっとあんまりじゃないかい、と言いたくなるところもあったのは否めない。真牛への輪姦とかさぁ。その事実はおいとていも、描き方がなんだか軽々しすぎるっていうか、不快感を感じずにはいられませんでした。男性作家さんなのでしょうがないのかなぁ・・・。

・・・なんだか、『面白かった!』と言いつつ、かなり辛口コメントですね;;;あんまり説得力がないかもしれないけど、本当に面白かったんですよ!!最後まで夢中で読んだんですよーっ!でも、ここまできたらもうひとつ!(笑)上巻で「いろんな要素が入ってる」ってなことを述べましたが、それが結局のところ”どっちつかずのぼんやりした小説”という印象になってしまったことも否めないんですよね。歴史小説とも言えない、ファンタジーとも言えない。いったい、どっちに重点を置いて書かれたんだろう・・・と。上巻はそれが魅力で面白かったのに、下巻ではそこが物足りないっていうか琉球王朝というひとつの王国の衰退を描いた小説にしては重厚さに欠けたような印象を受けてしまいました。
むー。言えば言うほど、ドツボにはまっているような気が・・・。



テンペスト 下 花風の巻
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池上 永一

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この記事へのコメント

2008年10月20日 22:21
すずなさん、こんばんは(^^)。
確かに下巻は???な部分多かったですよね。
私も「気づけよ、首里天賀那志!」と唸ってましたから(笑)。
女性の扱いがひどいのは、やっぱり琉球王国でも表に立つのは男性、ってことなんでしょうねぇ・・・。男性作家なのもあると思いますけど。その点は、ちょっと残念ですね。
祭祀国家のファンタジーとして読めば、龍を下すとか巫女の力とかはそんなに違和感はなく読めるのではないでしょうか。
私はもう上巻からそう読んじゃいました(^_^;)。
すずな@主
2008年10月21日 15:27
>水無月・Rさん
いや~気付かないのが不自然すぎて・・・^^;;;
そうですね。女性の扱いについては”時代”っていうのもあるんでしょうね。
私も上巻からファンタジーとして読んでたんですが、下巻はそのファンタジー色が弱まった感があって、それがなんだかねぇ・・・と思ってしまったんです;;;
でも、最後まで夢中で読んじゃうくらい面白いお話でした。琉球王国についてもっと知りたいと思ったりもしましたし。
2008年12月07日 20:47
途中、間延びしたような感じでしたけど、楽しく読ませていただきました。
確かに設定には無理はあるけど、キャラが中々楽しい、特に後宮の女達は(笑
すずな@主
2008年12月08日 13:13
>じゅずじさん
私も途中で中だるみ感を感じたんですが、楽しく読めました♪
最初は良かったんだけど、”中だるみ感”の時に設定の無理が気になってしまって^^;;;
後宮の女性達はみんな個性的でしたね~(笑)
2009年01月18日 20:29
後半、真牛の評価アップでした。消えたと思ってたのにしぶといなぁ~、と思ってたのに。彼女のたどった道は過酷でしたけど、最後まで誇り高くあろうとする姿はすごかったですね。
長かったけれど、面白かったです。
すずな@主
2009年01月19日 11:03
>エビノートさん
真牛は上巻とは印象がガラリと変わりましたよね。私も評価アップでした。
本当に、ほんっとぉ~に長いお話でしけど(笑)、面白かったですよね。最後まで夢中で読みました。
たまねぎ
2009年04月21日 23:30
女性の描かれ方は時代というのがやはり大きいんでしょうね。そもそもの始まりからして、女性であることを捨て宦官として生きるですから。その分、女だってと言い切れる真美那の様な存在が際立って輝いても見えるのですが。
でも、それでももう少し違う書き方がってのは私も思いました。安っぽい台詞でせっかくの荘厳さが損なわれてしまうのが勿体ない。
すずな@主
2009年04月25日 05:48
>たまねぎさん
たしかに、”女性”を捨てるっていうところからして・・・ですね。
そうなんですよー!琉球王朝を舞台に繰り広げられる陰謀劇みたいな割には、台詞が安っぽかったりするところが「・・・ちょっとね;;;」でしたよねぇ。そこら辺のバランスがイマイチだったような気がします。

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