赤い指(東野圭吾)

直木賞受賞後第1作。前々から読みたい!と思いつつ、なかなか遭遇できなかったんですが、ようやく手に取れました。

なんともはや、後味の悪い読後感。というか、最初から最後まですっきりしないもやもやもやもやで、嫌悪感満載なお話でした。

途中があまりにも酷すぎて、何度も放り出したくなった。でも、「これが東野さんなんだから・・・」と挫折はなんとか思いとどまって、いやぁ~~な気持ちを胸いっぱいに充満したまま読了。たぶん本来なら「おぉっ!」となるラストで、そういう嫌悪感は拭い去られるはずだったんだよね。それが、実は途中で「これって、実は・・・」と分かってしまったからか、ラストでは「あ~やっぱりね。」となってしまって、そこまでの衝撃を感じず。ということは、嫌悪感も拭い去られるはずもなく・・・。

事件を起こした息子と両親。この家族の誰に対しても、「もう、そうせずにはいられなかったんだね・・・」と同情というか、しょうがなかったのかも、と許容しちゃうような、切なさとかとか苦しみとか哀しみとか・・・、そういうものが一切ない。全く感じられない。もちろん、理由があるならOKと殺人を肯定するつもりはないのですよ。念の為に付け加えますが。息子も息子だけど、この両親がねぇ。特に父親が。この母親もどうよ、だけどさ。子供の為に自分が犠牲になるっていうなら、まだ分かる。赤の他人でも分かる。でも、息子の為に自分の母親をってのはねぇ。もう、気持ち的に付いていけなかったです。そこに至るまでに、それなりの理由があったんならまだ理解できたと思うんだけどね。はっきりいって、奥さんの感情にただ引き摺られてきただけでしょう。自分の母親を疎んじるようになった、これっていう理由は自分には何にもないんだよね。なんなんだ、この人はっ!ってイライラしちゃって、読みながらすごーくイヤぁ~な気分になってきて、この父親を心の中で罵倒しながら読んでしまいました。こんな息子の姿を目の前で見せつけられなければならなかった老いた母。自分を陥れようとする言葉を、目の前で聞いたときの気持ちを思うと・・・。

ただ、もうひとつの親子のお話にはジーンとさせられた。このエピソードがなければ、私的に受け入れられない作品になってしまったような気がします。お陰で、最後に少しでも気持ちが浮上できた。でも、やっぱり後味の悪いお話だったなぁ・・・。




赤い指
講談社
東野 圭吾

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この記事へのコメント

2008年09月18日 23:19
こんばんわ。TBさせていただきました。
本当に後味が悪いですよね。酷いです。
同情とか、哀れみが一切ないですよね。
人として、最低だと思います。
いや、人以下ですね。うん。
私も加賀刑事が出る作品じゃなきゃ読みきれなかったかも…。
2008年09月18日 23:36
 うーん、どうしようもないおバカ親子に腹が立って…という意見は確かに多いようですね。
 でも悲しいかな、だからこそリアルであり、加賀が事件を解決した時のカタルシスも大きいのだと思います。
 個人的には『容疑者X~』以降の作品ではベストだと思ってます。
べる
2008年09月19日 07:20
確かに前原一家の言動は唾棄すべきものばかりでしたね。自分の子供を守る為ならここまでえげつないこともやるのか!と眉をしかめたくなりました。
でも、私は加賀ファンなので、彼の事件の解決の仕方や、彼自身の親子のエピソードにやられました。このラストがあることで、私は後味が悪いと感じる作品ではなかったです(もちろん、前原親子の部分は最悪でしたが^^;)。
べる
2008年09月19日 07:25
ごめんなさい。TBが今回反映されないみたいです。二回試してみたので時間を置いて反映されるようだったら一つ削除して下さい。すみません^^;;
すずな@主
2008年09月19日 15:29
>苗坊さん
もうホントに前原親子にはイライラムカムカしっぱなしでしたね;;;ここまで嫌わせるキャラに描いた東野さんの筆力に感服です^^;
実は加賀刑事には初対面?だったのです。シリーズになってるんですねぇ。

>higeruさん
確かに、リアリティはあったのかも。あったからこそ、ものすごい嫌悪感を感じてしまったのかもしれませんねぇ^^;「容疑者~」とは違った意味で、忘れられない作品になりそうです。でも、後味が悪すぎ・・・;;;

>べるさん
TBの件ではお手数をお掛けしましたm(__)mちゃんと届いていました。他の方の分もなんですが、反映されるのが遅いようなのです。申し訳ありません。

もう、ほんとに!子供を守りたい気持ちは分かるんですが、その方法があまりにも酷すぎでしたよね;;;
それに毒されたのか、加賀刑事のエピソードには涙しつつも、後味の悪さは取れませんでした・・・。
たまねぎ
2008年09月19日 23:13
すずなさんこんばんは。ラストはオオッで、そういう意味のタイトルだったのかと驚きだったんですが、それでもやっぱり嫌な読後でした。その結果があの感想(汗)。
あの家族はなんの擁護も同情のしようも無いと言いますか、何から何までが酷かったです。思い出すだけでもまた沸々と……。
2008年09月20日 10:10
イライラには同感です!
みんな自分が良ければ、という身勝手さ。
そして極めつけは、見てみぬ振りの祖母…
まぁ、それが現代といえば、現代なんだろうけど。
あぁ、今思い出してもイライラ (^^ゞ
すずな@主
2008年09月20日 13:55
>たまねぎさん
本当に。あの家族を思い出しただけでもイライラしちゃうような、嫌な読後感が残っちゃいますよね;;;
でも、たまねぎさんの感想にはスカッとさせられました~(笑)

>じゅずじさん
本当に、みんな身勝手過ぎました。そろいもそろって・・・って感じでしたね(-_-;)
でも、そこにみょーにリアリティを感じてしまったり・・・なんともはや。

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