雷の季節の終わりに(恒川光太郎)

この著者の「夜市」を読んだ時に、「蒼のほとりで書に溺れ。」の水無月・Rさん、「まったり読書日記」のエビノートさん、「今更なんですがの本の話」のたまねぎさんと、私の”いきつけ”(笑)の読書ブロガーさん達にこぞって「他の作品も是非!」とお勧めされちゃいまして、それは読まねば!と意気込んで手に取りました。が!折りしも北京五輪真っ最中。連日連夜TVの前に鎮座し、胸を熱く震わせ、雄叫びを上げ、時には選手と一緒に咽び泣いていた(大袈裟)為、読了するのにすんごい時間がかかってしまいました。図書館の返却期限に間に合わず延長までしちゃったり。
・・・なんか、前置きが長すぎ(笑)

皆さんががお勧めされるだけありました!「夜市」とはまた違った異世界を堪能させてもらいました。恒川さんって凄いですね~。似てるようで全く似ていない、それぞれ異なった異世界をどれもこんなにまで魅力的に書き上げてらっしゃるなんて。

こちらからは見えない「穏」という町で暮らす人々。四季の他に「雷季」という季節があり、その季節に「風わいわい」に盗り憑かれてしまった少年を軸に、物語が描かれていく。他にも「墓町」や「闇番」「鬼衆」と、なんとも心惹かれる場所や人物が登場して、ゾクゾクしつつ、ひたひたと心を侵食されたような気持ちになりながら読みました。

途中、少年から少女のお話に変わって、「ん?何?これがどう繋がるの?」と戸惑ったんですが、読んでいくうちに「そこに繋がるのか!」という軽い驚きを味わって、なんというかね、ゾクゾクしちゃいましたね~。きっと彼らはもう再会することはないんだろう・・・という切なさを感じつつ、後ろ髪を惹かれるように読了。

ホラーのような、ファンタジーのような不思議な物語。物悲しく、どこか懐かしい。すぐそこに本当に在るような異世界とそこで暮らす人々。そして、今にもそこへウッカリ足を踏み込んでしまいそうな恐怖。・・・溜まりませーんっ!こういうお話はもぅもぅもぉーっと身悶えしちゃうくらい大好きです!なんか、上手くこの気持ちを表せる言葉が見つからないし、言葉を重ねれば重ねたただけ、この物語から漂う気配から遠ざかっていってるような気が・・・。
と、とにかくっ!恒川さんの紡ぎだす文章、描かれる情景が私の好みにぴたっとハマってしまいました。次の作品も早く読まなくちゃ!と思いますが、既刊本はあと1冊しかないようで・・・。読んでしまうのが惜しいような気分です。



雷の季節の終わりに
角川書店
恒川 光太郎

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この記事へのコメント

2008年08月25日 20:42
恒川さんの描く世界には惹き付けられて止みませんね。穏の世界にはまだまだ謎めいたところもありそうで、穏という異世界に行ってみたい!(書いてほしい!)という気持ちがあります。もちろん、この他にどんな世界を描いてくれるのか、一番楽しみにしている作家さんです。次は『秋の牢獄』ですね。こちらも怖いけれど素敵でしたよ~。お楽しみに。でも、もったいなくて読めないという気持ちもよ~く分かります(笑)
2008年08月25日 22:01
すずなさん、こんばんは(^^)。
いや~、よそ様のブログに自分の名前が出てくるとドキドキしますね~(笑)。
なんかとってもスゴイ人になった気が・・・(←断じて思い込み)。
恒川さんの作品世界は、日本人の遺伝子に刷り込まれた「原始的な恐怖とそれに関わる美」が揺さぶり起こされるのではないでしょうか。
この「侘び・寂び」のある郷愁、ひたひたと忍び寄る異界、もの淋しさが漂う文章。
素晴らしいですよね、ホントに。
『秋の牢獄』も、是非に是非に!
べる
2008年08月26日 00:34
こんばんは。TBありがとうございました。長編なのでやや冗長に感じる部分もありましたが、恒川ワールド炸裂で楽しめました。ナギヒサのその後がどうなるのかが一番気になります^^;
たまねぎ
2008年08月26日 00:39
こんばんは。私もオリンピックに夢中の日々でした。特にソフト&男子陸上4×100リレーには感涙でした。
恒川さんいいですよね。私はすべて読んでしまったので、いつになったら新刊がと日々首を長くしていますよ。
すずな@主
2008年08月26日 11:20
>エビノートさん
最初の一行目からぐぐっと惹きつけられちゃいますね~。
確かに、「穏」という世界をもっと堪能したい!という思いもあり、でも、他の世界も見たい!という思いもありますね。
次は「秋の牢獄」。すっごっく楽しみです~♪

>水無月・Rさん
日本人の遺伝子!あ~まさにその通りのような気がします。ひたひたと忍び寄るモノに恐怖を感じつつも、どこかしら懐かしさも感じてしまう。そんな読書になりました。
水無月・Rさん「秋の牢獄」猛プッシュですね~。すっごく楽しみです!
すずな‘主
2008年08月26日 11:26
>べるさん
こちらこそTB&コメントありがとうございます。
たしかに、長編ならでは感はありますが、私的には「夜市」などの短編よりもこっちの長編の方が好きです~。
ナギヒサのその後、たしかに気になりますね。

>たまねぎさん
私も同じ競技で涙していたような・・・^^;熱い戦いも終わり、ようやく読書に集中できそうです(笑)
恒川ワールドにどっぷりと絡め取られてしまいました!いいですよね~。残り1冊。読むのが勿体ないような、でも、早く読みたい!という複雑な気持ちです^^;先に新刊が出てくれないかなぁ・・・とか思ってみたり(笑)
まみみ
2008年08月29日 20:14
こんばんは。
いい季節にこの作品読まれましたねぇ^^
構成といい物語に引き込む吸引力といい、すごい力を持ってる作家さんだと思います。
次は「秋の牢獄」ですか。
これまたちょうどいい季節に(笑)楽しんでください!
すずな@主
2008年08月30日 14:39
>まみみさん
本当にすごい作家さんですよね。数行読んだだけで、ぐぐぐっと物語の世界に引き込まれてしまいます。
あ、ホントですね!季節的にタイミングがいいようですねぇ。早く読まなくちゃ!(笑)

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