災厄(永嶋恵美)

うわーうわーうっわぁーっ。
ホラーじゃないのに、ってか、ホラーよりも怖かった!

男子高校生が起こした連続妊婦殺害事件。妊娠5ヶ月の主人公の夫が高校生の弁護士を引き受けることになり、その時から様々な悪意を投げつけられるようになる。

”悪意”というシロモノ。ネット社会になって、匿名性が守られやすくなった。お陰で、投げつけることが簡単に出来るようになった。そして、受け取るのも容易になってしまった。どんどんエスカレートしていく行為をなかなか止められなくもなった。人の悪意がどんどん増幅していく様子が描かれるこの作品は、読み進むほどに薄ら寒く、そして、自分もいつ何時、その渦中の人となるのかもしれないという恐怖を味わいました。受ける側になるのかもしれないし、投げつける側になるのかもしれない。自分の中に、この主人公に投げつけられた”悪意”が存在しないとは断言できない。いや、あるのだろうと思えてしまう。めっちゃリアリティがありすぎて、怖いと思いながらも最後まで読まずにはいられませんでした。

人の悪意ほど怖いものはないと、しみじみ感じました。不特定多数からのものはもちろんですが、それが身近な人間のものなら、もっと怖い。もしかしたら、自分も気付かないうちに誰かの悪意を芽生えさせているのかもしれないと考えるとゾッとする。同じ言葉や行動でも、受け取る側の感じ方は同じじゃない。何をどう感じるのか。そんなつもりはなくっても、人の感じ方までコントロールは出来ないし・・・。気をつけようと思いながら、どう気をつけていいのかわかんないよね;;;と思うと、ますます恐怖が倍増する。ひー;;;

誰だって、どんな人だって、悪意の種を内に持っている。その芽がいつ、どんなキッカケで、どんな形で芽生えるのか・・・。心の奥では分かっていたけれど、出来れば目を背けていたかった、人間の人間であるが故の本性みたいなもの。それをグイグイと突きつけられた作品でした。なので、読後感はめっちゃ悪い。
でも、この著者のほかの作品も読んでみたいと思ってしまうんですよね・・・。


災厄

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