仏果を得ず(三浦しをん)

落語の次は文楽です!
・・・という訳ではないのですが、この作品はいろんな読書ブログ様で目にして、前から気になってたんですよねぇ。しをんさんだし。で、ようやく図書館で巡り合えたのでホクホクしながら借りてきました。

文楽についてのエッセイも書かれているしをんさんなので、その魅力を余すところ無く”小説”という媒体で表現された作品だなーと思いました。文楽についての知識が全く無い私でも充分に楽しめたし、尚且つ、文楽を観てみたいと思わせたんですから。

文楽に魅せられて太夫として修行を積む健が主人公。取り組む演目を理解しようとするところから、自分の今、そして周囲の事を考えていく様子は、先に読んだ「こっちへお入り」(平安寿子)と似ている。あ~似てるなぁ・・・と思いつつ、それが読む上でマイナスにはならないんだよねぇ。ずんずんと文楽の世界にのめり込み、健と一緒になって、兎一兄さんや銀太夫にビシバシとシゴカレル気分を味わいました(笑)

特に最後の章。健が演目を自分のものにするシーンは圧巻でした。読みながら目が離せなかった。手に汗握るというか、息を詰めて見守るというか、私も健と一緒に語っているような一体感というか・・・。何かがぶわーっと押し寄せてきて、すぅーっと、それでいて余韻をしっかりと残しながら引いていく。読み終わった後、ぐったりと脱力しちゃいました。

演目に取り組む修行の日々だけではなく、人間関係に悩み、そして恋に悩む様子も描かれる。文楽という特殊な世界であっても、そこに居る人々は私と同じ人間なんだよなーと親近感も持てました。なかなか進まない修行の様子にハラハラしたり、この恋はどう進んでいくのかとドキドキしたり。そんな風に読んでいくうちに、文楽に対する私の敷居は随分と低くなったような気がします。

落語もそうだけど、文楽も日本の伝統芸能で、一般人の私にはなかなか敷居が高いという印象があります。でも、ずぅーっと昔から連綿と受け継がれてきたものなんだから、面白くないはずがない!面白いからこそ、魅力があるからこそ、時代が移っても人を惹きつけ続けているんだろうなぁ・・・。一度、観てみたいなぁ・・・。と、そんなことを思えるようになった作品でした。


仏果を得ず

この記事へのコメント

2008年06月23日 21:54
読むとがっつり文楽の虜になっちゃいますよね。しをんさんの読者を世界に引っ張り込む力に脱帽です。ああいう古典芸能って、人間国宝になるくらいのよぼよぼのおじいちゃん(失礼)ばかりがやってるイメージがあったので、健みたいに若い人もいるんだって知れただけでも新鮮な驚きでした。そりゃそうですよね、すたれずに続くには若い人に継承していかなきゃいけないわけだし^^;
すずな@主
2008年06月24日 13:32
>まみみさん
しをんさんにまんまと乗せられて、文楽に興味津々状態です(笑)とりあえずTV(NHKかな)をチェックしなきゃ、と思っているところですが・・・。
いや、私もご年配の方ばっかり・・・ってイメージがあったんですよねぇ。若い人たちも取り組んでいる。そして、そんな彼らが主人公の話だったからこそより親近感が持てたんでしょうね~。
2008年06月24日 21:44
昔、勉強してたこともあって文楽の世界はちょっとだけ身近だったんですけど、こんな風に楽しい面白い作品に出会うと、実際の舞台を見に行きたくなっちゃいますね。
健を支える銀太夫、兎一郎と魅力的な人物がそろっていてとっても面白かったです♪
すずな@主
2008年06月26日 10:24
>エビノートさん
文楽の勉強をされてたことがあったんですか!それなら、なおさら生舞台を見たくなっちゃいますね!私も機会があったら、是非とも観にいきたいと思っています。・・・なかなか機会がなさそうですが^^;
主人公だけじゃなく、その他の登場人物たちも個性的で魅力溢れる人ばかりでしたね~。もっと彼らの活躍を見たい!という気持ちが強くて・・・。続編が読みたいです・・・。
たまねぎ
2008年06月29日 22:11
すずなさんこんばんは。私も同じくしをんさんの熱い愛に当てられて、文楽に興味津々であります。落語に比べるとなかなかテレビではお目にかかれないのか、ちょっと残念です。
すずな@主
2008年06月30日 11:44
>たまねぎさん
この作品を読むと興味が湧きますよね~。
あれから気をつけてTV欄を見てるんですが、なかなか「文楽」に遭遇できないでいます;;;
べる
2008年08月28日 07:44
すずなさんこんにちは。始めは文楽という未知のジャンルに戸惑いましたが、終盤の健と兎一郎のコンビによる『仮名手本忠臣蔵』は迫力があり読み応えがありました。落語ものよりはとっつきづらさもありましたが、日本の伝統芸能をまた一つ知れた気になれました^^
TBさせて頂きますね。よろしくお願い致します。
すずな@主
2008年08月29日 13:41
>べるさん
文楽って落語よりもなじみが薄いので、最初は戸惑ってしまいますよね。でも、最後の『仮名手本忠臣蔵』には引き込まれましたね~。迫力がありました。
日本の伝統芸能の世界も、こうやって小説になっていればすんなり入り込めるんだな~と感じますね。

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