渋谷に里帰り(山本幸久)

このタイトル、地方在住者としてはどうもピンとこない。
渋谷に里帰りするってことは、渋谷に実家があるってことでしょう?当たり前だけど(笑)私が渋谷といって思い浮かぶのは、まず「NHKホール」、次に「渋谷公会堂」。どこから情報を取り込んだのか一目瞭然なんだけど。やっぱ、自分が行ったことがあるってのは大事なんだなぁ(笑)あ、でも、渋谷公会堂は、名前をよく目にはしたけど行ったことはありません。そういや、「渋谷公会堂」はネーミングライツ売却によって「渋谷C.C.Lemonホール」に名前が変わったんでしたね。まだ馴れないけど;;;・・・また話が逸れた(笑)え~そう。地方在住者の私にとって、渋谷っていうのは商業施設が立ち並ぶ繁華街ってイメージの方が強いんですよね。だから、誰かが生活している場っていうイメージがないのです。そういう訳で、渋谷に”里帰り”って言われてもシックリこないっていうか・・・。でも、どんな商業地域だって、人が生活していない地域があるはずもなく。そこに”里帰り”する方が居るってのも当然のことなんだよねぇ。

主人公は32歳の食品会社営業マン峯崎稔。彼が、結婚退社することになった先輩営業ウーマン坂岡の担当である渋谷地区を引き継ぐことになった。峯崎は、小学生の時までパン屋さんを営む両親と一緒に渋谷で暮らしていた。その頃、次々と土地を売却し他所へ移り住んでいく人々の為に、小学校の生徒数も減り、転校する子供達は同級生に「裏切り者」と言われた。だから、転居することを誰にも言えないまま小学校卒業と同時に渋谷を後にした。それ以来、「渋谷」は峯崎にとって鬼門となっていたのだ。渋谷をウロウロして、うっかり同級生と遭遇してしまったら・・・。そこへ、突然の引継ぎ話が・・・。

営業ウーマン坂岡の仕事っぷりに惚れました!!さすが、トップ営業だけあるよねぇ。うちの若手営業マン達にも爪の垢を煎じて飲ませたいもんです。彼女の10分の1でも仕事が出来ればいいのになぁ。もうね~、見ててイライラするくらいの段取りの悪さ。要領悪いし。それが自分だけが大変ならいいんだけど、そのお陰でこっちまで大変なことになるからムカツクのですよ。きぃーーっとキレそうになったことが何度あるか。・・・いや、本当にキレたこともあるけど(笑)そんな坂岡の仕事ぶりに接していくうちに、峯崎の仕事に対する気持ちも変わっていく。それと比例するように、”渋谷”に持つトラウマも少しずつ解消されていく。そして、恐れていた同級生との再会。呆気ないほどスンナリと旧交を温められる。

仕事で仕方なく渋谷を回り、あの頃と変わらない場所、変わってしまった場所を知り、変わらず暮らしている人に出会ううちに、いつの間にか渋谷は鬼門ではなくなる。「案ずるより産むが易し」って言葉がふと浮かびました。あれこれ考えてるだけじゃ、何も解決しない、変わらない。とにかく行動してみる。すると、案外、するすると上手くいくもんだ。・・・と、スッパリ思えれば楽なんでしょうけどね。これがなかなか難しいですね。うだうだと悩んでしまって動けなくなることが多い。

最後の「負けるものか。負けるものか。」という峯崎の心の叫びが印象的でした。読みながら、私も一緒に「負けるものか。負けるものか。」と言い聞かせるように呟いてしまった。

うん、負けるものか。


渋谷に里帰り

この記事へのコメント

2008年05月08日 18:51
>とにかく行動してみる。すると、案外、するすると上手くいくもんだ。
すずなさんのこの言葉にうん!うん!!とうなずきました。そう思いきれると楽になりますよね。っていうかまず行動しろって感じでしょうか。
自分自身ではあまり楽しめなかった本でしたが、他の方の感想を読んでじわじわと評価があがってる、そんな一冊です。
2008年05月08日 20:54
坂岡女史の仕事ぶりはカッコよかったですね。
厳しいことを言ってたので、この人怖い?と思ったんですけど、主人公の最初の仕事ぶりを後から振り返ると、当たり前のことを言ってるじゃないか!と、後からググ~ンと好印象になりました。
そうそう、私も渋谷で生活している人がいるんだというイメージありませんでした。身近なところでは天神なども、生活の場というイメージがあまりなくって(^_^;)
すずな@主
2008年05月09日 15:57
>まみみさん
「まず行動!」分かってても、なかなか難しいですね。でも、その気持ちは忘れずにいたいと思いました。
私も他の方の感想を読んで、「なるほどね~」と思ったり、評価が変わったりすることがあります。最近、こういう風に色んな方の思いを自分の中に取り込んで咀嚼出来るっていうのは贅沢なことだなぁ・・・と思うことが多くなりました。

>エビノートさん
そうそう。坂岡女史って最初は怖い人?ってイメージだったんですけど、仕事に対して一生懸命で真剣に取り組んでいるのが分かって、見方が違ってきましたね。
天神も渋谷と同じ商業地域ってイメージがありますね!あそこで暮らしている人がいるっていうのがピンとこないです^^;

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