八日目の蝉(角田光代)

なんというのかなぁ・・・。不思議な気持ちになりました。希和子のやったことは犯罪で、許されるべきことではないのだけれど、それでも、どうかこのまま逃げ切って・・・と願わずにはいられなかった。切なかった。途中から、先が気になって次へ次へと読んで最後まで一気に読んでしまいました。

不倫相手の乳児を誘拐して、4歳まで育てた女性。前半は彼女の逃亡の物語。後半は、その誘拐された子供のその後の物語。

衝動的に起こした誘拐だったのだけれど、子供と接するうちに愛情を注いでいく気持ち。どうしても離れたくないという気持ち。この子と一緒にいられるのなら、他は何もいらないと思うようになっていく・・・。その心情が淡々と綴られていて、それが切々と伝わってきました。そして、逃亡の終わりを予感させられる事が起こった時、どうか、どうか逃げ切って・・・と、ついつい願っている私がいました。もちろん、これは犯罪であり、子供を連れ去られた親にとっては、なんて不謹慎な感情なんだろうというのはよく分かるんだけどね・・・。

そして、子供のその後。果たして、実の親のところで幸せだったのか、著者からそんな疑問を提示されたような気が・・・。でも、そもそも「誘拐」なんてことが無ければ、こういう家族になることは無かったんだけどね。

親子とは、家族とは、ということを考えさせられた作品でした。

最後は、二人のこれからが、優しく穏やかなものになるような希望の見えるラストでほっとしました。あ~良かったなぁ・・・と思えました。

八日目の蝉

この記事へのコメント

2008年01月03日 21:09
前のコメントで書き忘れちゃたので、改めて。明けましておめでとうございます♪
今年もよろしくお願いします(^_^)

前半部分では、希和子の気持ちが伝わってきてこのまま二人で幸せに暮らしていけたらいいのに…と私も思っちゃいました。
でも、後半を読むとやっぱり彼女のやったことは、一つの家族の平凡な幸せを奪っちゃうことなんだよなと改めて意識させられて、角田さんの巧さを感じた作品でした。
すずな@主
2008年01月04日 07:14
>エビノートさん
おめでとうございます。こちらこそ、よろしくお願いします。

そうですね。前半はどうしても希和子に感情移入しちゃって、どうかこのまま逃げ切って・・・って願わずにはいられませんでしたが、後半で、希和子のやってしまったことの結果を突きつけられ、そして、家族や母子の関係というものを考えさせられました。
2008年01月08日 03:40
あけましておめでとうございます。

希和子の母親になりたい気持ちが痛いほど伝わってきました。
それほど感情移入していたので、あまりの現実の厳しさに読みすすめていくのがつらかったです。
成人した薫が前向きに変わったのが、心地よかったです。

昨年は大変お世話になりました。
年末のコメント、うれしかったです。
今年もどうぞよろしくお願いします。
すずな@主
2008年01月08日 11:38
>藍色さん
おめでとうございます。
こちらこそ、昨年は大変お世話になりました。藍色さんのお陰で、他のブログ様にもコメントを残したりTBを送る勇気をもらえて、読書の楽しみが増えました。ありがとうございました。今年もどうぞ宜しくお願いしますね。

希和子の気持ちが痛かったですね。ついつい応援したくなりました。でも、2章で現実を突きつけられて読むのがちょっと辛くなりました。
最後は、前向きに終われてほっとしました。
たまねぎ
2008年01月08日 23:21
この作品には考えさせられました。
去年、一番衝撃が強かったです。
今でも考えた答えは出ていません。
いつか自分が親になる事があれば、
きっと思い出す一冊です。
すずな@主
2008年01月09日 06:57
>たまねぎさん
色々と考えさせられる作品でしたね。
自分が親になった時に読めば、また違った感想になりそうですね。
2011年09月26日 18:34
すずなさん こんばんは
映画化やテレビ化で話題になって、
天邪鬼な僕はこうなると普通、
意地でも読まないのですが、
この作品は映画化のおかげで知ることができ、
そのおかげで興味を持ち、読むことになりました。
とてもいい小説でした。
映画化に感謝ですね!
すずな
2011年09月28日 12:49
>yoriさん
私も映画化やテレビ化などで話題になると読まないことの方が多いです。yoriさんと同じ天邪鬼です(笑)なので、私は映像化の前にこの作品は読んでて良かった~と思ったクチです^^;
でも、yoriさんのように映画化がきっかけで素晴しい作品に出会えるってこともあるので、天邪鬼はほどほどにした方がいいですね^^;

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