猫泥棒と木曜日のキッチン(橋本紡)

薄い黄色が全体を優しく包み、それよりちょっと濃い黄色が猫を形作る。そんな、ほんわか~とした雰囲気の装丁に、このタイトル。
・・・すーーーっかり騙された;;;

猫ちゃんをテーマにした、暖かい、優しい物語だと思うじゃないですか!初読み著者だったけど、なんとなーく優しい物語を書かれるのかなぁ・・・と思わせるようなお名前だし。それが、いきなり冒頭の一言に固まる。
「お母さんが家出した」
ん?んんっ!?なんですってっ!?と、ついつい声をあげたくなりましたよ。びっくり(笑)

ある日、17歳のわたし・みずきと父親が違う5歳の弟コウちゃんを置いて、お母さんがいなくなった。何の前触れもなく、あっさりとみずきたちを捨てたお母さん。でも、慌てるでもなく恨むでもなく、そして困る事もなく、それからの日常を過ごしていく。ご飯を作って、高校に通う。どうせ今まで家事をしてたのはわたしなんだから、困る事なんてないのだ。そして、残されたわたしとコウちゃんに、怪我でサッカーが出来なくなった健一くんを加えた3人がわたしの新しい家族になった。
なんだか、捨てたのはお母さんじゃなくって、残された子供みたいねと思ってしまった。みずきの淡々とした語りが、それを証明しているような感じ。

お母さんがいなくなってから、車に轢かれた子猫を拾って庭に埋めるようになるみずき。そして、ある日ダンボールに入れられた瀕死の子猫に出会ったことから、みずきは大胆な行動を起こす・・・。瀕死の子猫のところをね、読むのがちょっとね・・・。以前、うちにいた猫の最期を思い出してしまって・・・。あの時のことが消しても消しても浮かんできて、けっこう辛かった;;;

それにしても、みずきの大胆な行動には喝采を送りたくなりましたよ~。あのおばちゃんには私もムカムカしたもん。でも、私には同じような行動は取れないだろうな、とも思う。
動物だって、生きているということでは人間となんら変わらない。”可哀想”という言葉で何でも片付けられると思ったら大間違いなのだ。時に、”優しい”と”弱い”と”ズルイ”が同じ意味を持つことがあるのだ、ということを改めて思い出したりもしました。

捨てられた子供が、捨てられた子猫を拾う。母親が家出した後、淡々としているようなみずきなんだけど、そこにみずきの心の隙間を見つけたような気がして、堪らない気持ちになりました。

最後は、あれで良かったのだな・・・と思う。というか、そう思いたい、かな。

猫泥棒と木曜日のキッチン

この記事へのコメント

2007年11月13日 20:25
タイトルから予想もつかない内容でしたね。
ほんわかしたイメージの物語を私も想像していたんですけど、何かいろいろ考えさせられる内容でもありました。
動物のこともそうだし、家族のことも。
捨てるって選択肢があるのは、哀しいですよね。
すずな@主
2007年11月14日 20:00
>エビノートさん
タイトル&装丁から想像してたのと違ってました;;;動物のこと、家族のこと、色んなことを考えさせられましたね。
ホントそうですね。選択肢のなかに「捨てる」っていうのが無くなればいいですね・・・。
2009年10月09日 23:02
こんばんわ。TBさせていただきました。
皆さんのブログを読んで気になっていた本だったので、私はこの話の展開に驚きはなかったのですが^^;
悲しいこともたくさんありましたけど、でもみずきたちはとってもいい子で、小さな幸せをかみ締めて生活していることが分かりました。
猫達はかわいそうですよね。人間に翻弄されて。
みずきのしたことは、立派なことだと思います。
猫達も、みずきの元で幸せになるといいですよね^^
すずな
2009年10月25日 10:40
>苗坊さん
コメント遅くなってすみません;;;
タイトル&装丁に騙された本でした(笑)
人間に翻弄される動物達。お話の中だけじゃなく現実でも多くって・・・報道等を見るたびに胸が痛みます。
猫ちゃんもみずきも幸せになるといいですね・・・。

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